円高になるとどんな良いこと・悪いことがあるのか再確認してみる……(1)円高とは
2008年11月28日 19:40
テレビや新聞・雑誌はもちろん、日常生活の中でもよく使う経済関係の言葉ながら、実際に大きな動きがあると自分の身の回りにどんな変化が生じるのかよく分からない。それらの言葉について、周辺の動きと共に再確認する特集(いつの間に……)「再確認してみる」シリーズ。【金利が安いとどんな良いこと・悪いことがあるのか再確認してみる】【株価が安いとどんな良いこと・悪いことがあるのか再確認してみる】に続き、最終回の今回は「円が高くなると」、つまり「円高になると」がテーマ。
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●円高とは!?
まずは「円高」についてのおさらい。「円高」とは「円の価値が高くなること」。では何と比べて高くなるかといえば「他国の通貨(紙幣・貨幣)と比べて」という説明になる。それぞれの独立国家では自国で発行した通貨を用い、社会生活・経済を動かしている。日本なら「円」、アメリカなら「(アメリカ)ドル」、ユーロ圏なら「ユーロ」、イギリスなら「ポンド」といった具合だ。そして基本的に、ある国においては自国発行の通貨以外は使えない。近所の商店街で1ドル札を手渡しても買い物はできないし、ヨーロッパ旅行に出かけて店先で1万円札を手渡しても(珍しがられるが)お土産は買えない。
円の価値が
海外の通貨と比べて
高くなること
他国で買い物をする時には事前に交換所などでその国の通貨と手持ちの通貨を交換しておく必要がある。この取引の際に使われる交換比率(レート)が「為替レート」。よく耳にする「1ドル○×円□△銭」というのは、「アメリカドルの1ドルあたり日本円で○×円□△銭と交換できますよ」を意味する(厳密には手数料などがあるが、ここでは省略)。
現在ほとんどの国で行われている「変動相場制」では、為替レートは両国間のさまざまな状態で変化する。もっともシンプルな考え方は、「価値の高い通貨ほどレートも高くなる」。以前何度か紹介したジンバブエで、1アメリカドルあたりのジンバブエ・ドルが数億にも数兆にも跳ね上がっているのは、「それほどまでにジンバブエ・ドルを積み増さないと、同じ価値のものが買えないから」ということだ。
もっとも現在の「円高」は厳密には「円高」というよりは「ドル安」と呼ぶべきかもしれない。通貨の価値はあくまでも相対的であるからだ。例として「ドル」「円」「ユーロ」の三通貨間の関係を考えてみる。
「ドル」「円」「ユーロ」の三通貨間の関係の例
「ドル」と「円」の二通貨間の関係だけなら、「円高」と「ドル安」はほぼ同じ意味になる。為替レートはあくまでも二通貨間の相対関係だからだ。しかし例としてここに「ユーロ」を加えた場合、少々事情が異なる。
「円高」が進行して「ドル」と「ユーロ」がそのままなら、「ドル」「ユーロ」間に変化はない。しかし実際には「ドル」の価値が大幅に下落しており、「ドル」と他国通貨との価値が変動していると考えてよい。つまり「円高」ではなく「ドル安」に近い、というのが実情だ。図にあるように、「ドル」の相対価値が動いているので、「ドル」の対円・対ユーロで動きがあるが、「円」と「ユーロ」では力が均衡しているので為替レートに変わりは無い。
実際には三通貨間どころか為替市場で交換可能な通貨の数だけ、相互関係は存在する。さらに直近の現状では「ドル」だけでなく「ユーロ」も大きく下落している。上の図式の関係でも「ドル」が「円」と「ユーロ」に引っ張られるというのではなく、「円」はそのままで「ドル」「ユーロ」の足元がぐらついて弾性のヒモの力で円側に引き寄せられているという形になっている(「ドル」「ユーロ」間ではやはり「ドル」側の下げの方が厳しい)。
※なお直近では、ユーロ・ポンド共にドルに対しても下落しています。上の図はあくまでも概念的なものとしてお考え下さい。
(続く)
■一連の記事:
【円高になるとどんな良いこと・悪いことがあるのか再確認してみる……(1)円高とは】
【円高になるとどんな良いこと・悪いことがあるのか再確認してみる……(2)円高のメリット・デメリット】
【円高になるとどんな良いこと・悪いことがあるのか再確認してみる……(3)円高デメリットの具体値と日本の努力】
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