10月の投資用プラチナ地金の販売量過去最高を記録
2008年11月13日 08:00
田中貴金属工業は11月12日、2008年10月における投資用プラチナ地金の販売量指数において、過去最高となったことを発表した。景気後退感などから販売価格は減少する一方、投資需要が盛り上がったのが原因とのこと(【発表リリース】)。
スポンサードリンク
田中貴金属におけるプラチナ地金の販売量・買取量指数推移とプラチナ価格
プラチナは金や銀同様にきわめて価値の高い貴金属として知られており、金と同じように幾つかの会社から資産形成用の硬貨も発売されている。そして金と同じように昨今の金融危機の中で急激に値を上げ、2001年には年間平均価格が1グラム2142円だったのに対し、今年1月から9月の9か月間平均では6251円、3月では特に7589円をつけた。金価格や原油価格の上昇、工業製品として使用する自動車の需要増加、さらにはプラチナの生産国南アフリカの供給不足懸念などが要因。
しかし今秋以降金融危機の本格化に伴い、景気への先行き不安や自動車の需要減少予想などから急速に工業的な需要は落ち込み、10月にはグラム3058円まで下落。その一方投資目的としてのプラチナの需要は高まり、田中貴金属では10月における一か月間のプラチナ地金の販売量は「昨年一年間における合計販売量」の1.3倍に達したとのこと。また2008年1月~10月のプラチナ地金の販売量指数(2001年を100とした場合)は、既に280となっている(つまりすでに去年の3倍近い販売量を見せているということ)。
プラチナ地金の販売量指数とプラチナ価格の推移。棒グラフ右側の濃い色の部分は今年に入ってからのもの。今年、特に10月の販売量が異常な値を示しているのが分かる。
【「金不足」 お金じゃなくて 金貨です メイプルリーフも すでに品薄】にもあるように工業用素材としての金やプラチナの需要が落ち込んだ関係で価格は下がっているものの、一般投資家らによる現物の購入(地金・コインなど)のニーズは、価格下落も拍車をかける形で高まる一方。金融危機によって金融市場に不安を感じた資金が、「実態の無い財産」から「実態のある昔ながらの財産」に向けて急速になだれ込んでいるのが分かる。
果たしてこの傾向がいつまで続くのかは不明。しかしコインや地金の個人投資家らによる需要が急増しているのに価格が横ばい・下落という妙な状態が続く限り、しばらくは「貴金属の現物買い」の活況は継続するものと思われる。
スポンサードリンク
ツイート