株価低迷で時価総額による上場廃止基準一時停止へ
2008年10月31日 06:30
東京証券取引所は10月30日、上場廃止基準及び市場第一部から第二部への指定替え基準の中で、「時価総額及び流通株式時価総額」に関する基準において、今年の12月までの間は適用を停止すると発表した。昨今の株価急落で上場廃止や市場指定替えの銘柄があまりにも多くなったための措置(【発表リリース】)。
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東証に上場している銘柄が上場を維持するためなどには、時価総額(発行株数×株価)が一定額以上であることが求められる。具体的には次の通り。
・第一部から第二部指定基準……20億円未満になったあと、9か月以内に20億円にならなかった場合。
・第一部、第二部の上場廃止基準……10億円未満になったあと、9か月以内に10億円以上にならなかった場合。
・マザーズの上場廃止基準……5億円未満になったあと、9か月以内に5億円以上にならなかった場合。
※それぞれの猶予期間は、所定の書面を提出しなかった場合は3か月になる。
ところが昨今の株価低迷で、この基準に抵触する銘柄が続出する羽目となった。現在上場廃止及び市場切り替えの猶予期間を与えられている銘柄は次の23銘柄となる。
ソフトブレーン/市場第一部/4779
ハルテック/市場第一部/5916
サクラダ/市場第一部/5917
エスケイジャパン/市場第一部/7608
シルバーオックス市場第一部/8024
サンシティ/市場第一部/8910
ゼクス/市場第一部/8913
ビーアールホールディングス/市場第二部/1726
東福製粉/市場第二部/2006
バナーズ/市場第二部/3011
メルクス/市場第二部/7934
ノエル/市場第二部/8947※
セキド/市場第二部9878
エイジア/マザーズ/2352
モック/マザーズ/2363
リンク・ワン/マザーズ/2403
FUJIKOH/マザーズ/2405
ネクストジャパンホールディングス/マザーズ/2409
アップガレージ/マザーズ/3311
デザインエクスチェンジ/マザーズ/4794
インスペック/マザーズ/6656
エリアクエスト/マザーズ/8912
※順に社名/市場名/証券コード
※ノエル(8947)は10月30日付けで破産手続き開始のため上場廃止決定
このような異常事態に東証では時価総額がらみの基準を12月までの間、一時的に適用を停止。以下のように取り扱うこととした。
1.猶予期間に入っていない銘柄が、この間に基準を下回っても猶予期間には入らない。
2.猶予期間に入っている銘柄については、
(1)この間については市場第一部から市場第二部への指定替え又は上場廃止とはしない。
(2)各銘柄の猶予期間が3か月延長される。
(3)この間に基準を上回っても猶予期間からは出ない。
2の(3)を見れば分かるように、本当の意味での「適用停止」となる。
昨今の株価推移、特に10月のそれは歴史的に見ても異常事態であり、既存のルールを杓子定規に当てはめているばかりでは事態の動向にうまく対処できない場合がある。今回の「時価総額による上場基準」その「杓子定規」に当てはまるかどうかは判断が難しいところだが(市場原理による自然の淘汰、と見る考え方もある)、単に猶予期間延長ではなく「特定期間中に上回っても猶予期間のまま」と設定したあたりはうまいやり方といえるだろう。
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