生保大手の保有株式の含み益ゼロラインをグラフ化してみる

2008年10月12日 12:00

保険イメージ昨今の株価低迷で保有株式の評価価値が下がり、業績を下方修正している企業が相次いでいる。その現象は保険会社にも同様にのしかかってくる。先日破たんした中堅生命保険大和(やまと)生命保険では「株式など保有する資産の価値が下落した」ことを破たん理由として説明しており、多くの(大和生命保険以外の保険に契約している人もあわせ)保険契約者が「自社の保険会社はどうなんだろうか」と気が気でないはずだ。生命保険大手9社では3月末時点の「日経平均株価ががここまで下落したら手持ち資産の含み益が無くなります」という額を提示しており、それが10月10日付けの日刊ゲンダイや【TAE BLOG】などでまとめられていた。今回はこれを元に現状を整理した図を作ることにする。

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先日破たんした大和(やまと)生命保険の破たん原因の一つは、株価の急落によるもの。生命保険各社は顧客から預かった保険料をいくつもの手段で運用しているが、その一つが株式によるもの。当然資産として各上場企業の株式を大量に保有している。株価が下がるということは株式の含み益が減り、それは生命保険会社の経営体力を削り取ることになる。

公開されているデータは3月末のもので、その後保有株式を変更したなどの理由で「含み益ゼロ」のラインが変わっている可能性もある。しかし現時点での公開ラインはこの値なので、これを元に図を作ることにする。9月以降の日経平均株価の動向と、生保大手9社の「損益ゼロライン」を重ね合わせたのが次の図。

2008年9月以降の日経平均株価推移と、生保大手9社の3月末時点の保有株式による損益ゼロのライン(10月10日時点)(クリックで拡大表示)
2008年9月以降の日経平均株価推移と、生保大手9社の3月末時点の保有株式による損益ゼロのライン(10月10日時点)(クリックで拡大表示)

「ゼロライン」のうち、現時点で含み損のラインを青・含み益を緑で引き、各会社の色は現状にマッチした色付けをしてみた。ぱっと見でイメージ的に状況が分かるはずだ。

株価下落で保険契約者が
出来る対応策はほとんど無い。
注意深く株価動向や
各会社の対応策を
見守る必要はある。

「株価低迷」即「生命保険会社の経営危機」というわけではないが、株価の下落低迷が長引けば、事態は静観するにとどまらない可能性はある。含み損は自己資本から差し引かれ、保険会社の安全性を示す「ソルベンシーマージン(保険金の支払い余力)比率」を引き下げることになるからだ。この値が下がれば、安全性を確保するよう監督官庁からの指導が入ることになる。そして破たんを防ぐために、保険料の引き上げや保険金の減少という現象が起きる可能性もある。

現時点において保険会社・保険契約者に出来ることはほとんどない。特に保険契約者は、株価の推移を注意深く見守ることくらいしかないだろう。

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