J-REIT初の破たん~ニューシティ・レジデンス投資法人(8965)、民事再生手続き申し立て

2008年10月10日 08:00

株式イメージ上場不動産投資信託(J-REIT、Jリート)の【ニューシティ・レジデンス投資法人(8965)】は10月9日、同社が同日開催の役員会において、東京地方裁判所に民事再生手続開始の申し立てを行うことを決議し、申し立てを行い受理されたことを発表した。またこれにあわせ東京証券取引所でも同銘柄を10月10日から11月9日まで整理銘柄に指定し、11月10日に上場廃止とすることを決定している(【発表リリース、PDF】)。なお、J-REITの事実上の倒産による上場廃止は2001年9月のJ-REIT創設以来今回が初めて。負債総額は8月31日時点で1123億6500万円。

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J-REIT(Jリート)は言葉通りリートの日本版。ビルやマンションなどの不動産を元手にして証券を発行、小口に分けて資金を集めるという「不動産証券化ビジネス」の一形態。それを上場し、多くの人がやりとりしやすい形にしている。購入した投資家は主に賃貸収入などから配当を受け取ることになる。もちろん投資口(≒証券)の売買も株式同様に可能。

リリースなどによるとニューシティは2004年9月に設立された不動産投資法人。東京近辺の賃貸マンションに特化した不動産投資を行い、運用はシービーアールーイー・レジデンシャル・マネジメントに委託。2004年12月には上場を果たした。しかし金融市場の混乱や、とりわけ不動産・建設業界への風当たりの強さ、さらには原材料費の高騰などから不動産取引全体が停滞。同社でも取得予定資産の決済資金や借入金の返済用資金の調達が困難に陥り、10月末までに取得予定の資産の決済資金や今月返済期限が到来する借入金の返済資金の調達が困難となり、今回民事再生手続きの申し立てを行うことになった。

賃料だけでやりくりするなら
今回の破たんはありえなかった。
背伸びして巨大な物件を
取得しようとしてそれに失敗。
違約金も払えず、
銀行からの借り入れも出来ず
破たんの道へ。

今回破綻したニューシティは、不動産関連企業のように「土地や建物の売買」を主事業とするのではなく、賃料収入が財務の柱となっていた。景気動向に左右されにくい賃料を土台としているため、安定度は高いはずであった(こまめに売れる作品を何冊も抱え、そこからの印税が入る出版社や漫画家を想像すればよい)。

ところが【昨年末に同社が取得を計画した物権一覧(PDF)】を見ると、一つ「ニューシティレジデンス池袋プレイシャスタワー(仮称)」という他とはケタ違いに高額な物件がある。その額は実に276億9100万円。こちらの物件の取得予定日が今年の10月31日となっており、リリース上の「10月末までに取得予定の資産の決済資金」がこれに該当するものと思われる。

資金不足なら銀行から融通してもらうかキャンセルすれば良いようなものだが、キャンセルには違約金が必要となり、直前のキャンセルともなればその額も少なくない。元々単価の高い物件なだけに、違約金も跳ね上がる。銀行から借り入れをしようとしても、この「背伸び」を察してか【ムーディーズも格下げを示唆するリリースを同日に流しており(PDF)】、借り入れは困難となったようだ。要は下手に背伸びをしただけに、コケてしまった時の反動も大きく、しかも手助けしてくれる人もちゅうちょしてしまい、手をあげるしか道が残れなくなったということになる。

2008年における倒産上場企業負債総額上位10位と負債額(億円)(10月9日時点)
2008年における倒産上場企業負債総額上位10位と負債額(億円)(10月9日時点)

投資口数(≒総発行株数)は18万2068口。収入源が安定しているという触れ込みもあり、個人投資家はもちろん金融機関、外国人投資家なども含めて多くの人が取得しているため、影響が出るのは免れない。しかも「分配金が減少しても破産リスクはゼロに等しい」といわれてきたJ-REITが(経営陣のいわば暴走的な経営戦略のつまづきによるとはいえ)破たんしたことで、不動産セクター全体への信用がますます損なわれるだけでなく、リートそのものの信用性が崩れて、さらに売りに拍車がかかる危険性もある。

民事再生法による会社の再生は、経営陣の刷新は法律要件ではないため、現行の経営陣がそのまま残る可能性が高い。くだんの「問題物件」を取得しようとしたのが、すでに不動産不況が叫ばれた昨年末であったことを考えると、経営陣の責任問題もあらためて問われる事態になることだろう。

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