市場の第一印象は冷ややか~任天堂、DS新型機「DSi」発表・11月1日から発売
2008年10月03日 06:30
[任天堂(7974)]は10月2日、同社が発売している携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」シリーズの最新版として『ニンテンドーDSi(ディーエスアイ)』を11月1日から発売すると発表した。価格は1万8900円(税込み)。大型化された液晶、デジカメ機能などが特長。色は白と黒の2種類(【発表リリース】)。
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ニンテンドーDSi(ディーエスアイ)
「ニンテンドーDSi」では「ニンテンドーDS Lite」とほぼ同じ本体サイズにも関わらず厚さを2.6ミリとLite比で12%ほど薄くすることに成功。それと同時に液晶画面は3.0インチから3.25インチと、面積比で17%ほど拡大している。さらに30万画素のデジカメ機能(カメラレンズは外部に設置)、SDメモリカードスロットの搭載、ミュージックプレイヤーソフト「ニンテンドーDSiサウンド」の実装、専用ブラウザをダウンロードすることでWi-Fi通信環境下でのネット閲覧が可能という仕様になっている。さらに将来任天堂側ではインターネット経由で「ニンテンドーDSiウェア」を有償で提供する予定があり、これを利用することで本体機能の拡張もできるようになる。
「DSi」と「DS Lite」との仕様の差
今回の「DSi」の発売で、任天堂では以前から掲げている目標「一家に一台から一人一台の所有へ」に一歩でも近づきたいと言及している。
なおデジカメ機能、SDカードスロットの搭載など機能追加が著しい「DSi」だが、「Lite」と比べると「ゲームボーイアドバンス用ソフトが使えない(スロットそのものが無い)」、電池の継続時間が短い(最高輝度でLiteが5~8時間だったものがDSiは3~4時間)。
●市場の反応と「平行進化」
これだけでは他の情報元とさほど変わりないので、二つほど別視点から「ニンテンドーDSi」について触れてみることにする。まずは市場の反応。今回の発表は「任天堂カンファレンス2008秋」にて行われたものだが、タイムスケジュール的には13時40分頃に岩田 聡任天堂が「DSi」について第一声を上げ、14時過ぎまで順次スペックを発表していった(【参考:ゲーマガblog】)。任天堂の株価は発表内容が漏れ伝わるにつれて大きく下げ、ある程度スペックが確定した14時までの20分間ほどの間に1500円ほども値を下げてしまう。
発表当日10月2日の任天堂株価の動向
これはニンテンドーDSiのスペックが低いから、というわけではなく「DSiの発表でDSシリーズの最新機種の展開がしばらく続くことになり、まったく新しい新機種の登場はしばらくないだろう」という市場予想、さらには期待されていた・噂話として一部で伝えられていた仕様と実際の仕様があまり変わるところがなく「新鮮味に欠けた」ことで失望売りを誘ったものと思われる。ちなみにこの下げで、任天堂の株価は久々に4万円台を割り込む展開となった。
また、デジカメや音楽プレイヤー機能、SDカードスロットの搭載や、インターネットへのアクセス機能の強化など、DSiはこれまでのDS・DS Liteと比べると携帯電話や他のモバイル端末との差別化かつきにくくなっている。逆にいえば携帯電話に近づきつつあると表現してもよい。
これは顧客のニーズに応える形で機能を追加していけば、結局似たような仕様のものが完成してしまうという、いわば「平行進化」の結果ではないかと思われる。例えるならインターネット上の検索系ポータルサイトが、色やデザインこそ違えども、展開されている機能にあまり差異はないのと同じ。
今のところDS系ではインターネットへの接続は無線LAN経由によるもの。これは任天堂の基本コンセプト「通信は基本的に無料、出来なければ極力安価で」をよりどころにしている。このまま無線LANのみでどこまでも突っ走るかどうかは不明だが、将来的には携帯電話本体と何らかの形で連動性を持たせたもの(本体か周辺機器)が登場してくる可能性も十分にあるといえよう。
もっとも現時点で、SDカードやインターネットを経由した「連動」を提供することは十分に可能だが……。
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