米アマゾンで先行導入中の機能「Amazon Meters」~目指すは主婦の井戸端会議!?

2008年10月20日 12:00

Amazon Metersイメージ総合コミュニティ通販サイトを目指すアマゾン。【「代わりにこんな商品を買ってますよ!」・本家アマゾンで「おすすめ紹介」に新機能】【アマゾンで商品ごとの掲示板「この商品について語る」試験運用開始】などで指摘しているように、両アマゾン間には本家アマゾン(米アマゾン)において先進的な技術やアイディアが導入され、しばらく時間が経過した後に日本のアマゾン(アマゾンジャパン)でも導入される傾向がある。逆に考えれば「アマゾンジャパンに無く」「米アマゾンにある」機能を探せば、今後アマゾンジャパンで導入される可能性が高い機能を見出すことができる。そこで色々と探してみたのだが、ほとんどの既存機能はすでにアマゾンジャパンにも導入済み。ようやく見つけ出したのが……

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トップページ右部にランダムで表示される「投票画面」への案内
トップページ右部にランダムで表示される「投票画面」への案内
投票画面。二者択一の投票場面以外に、討論の場として掲示板が用意され、さらに関連アイテムの紹介も
投票画面。二者択一の投票場面以外に、討論の場として掲示板が用意され、さらに関連アイテムの紹介も

販売している商品とは直接関係のないような、二者択一の投票コーナー(Amazon Meters)。世間で注目を集めている話のネタについて、二つの選択肢それぞれが代表的なビジュアルで(たいていは3Dグラフィック化されて)表示され、どちらが良いかと尋ねている。利用者はそれを見て投票し、下の討論掲示板で意見を交わし、さらには関連する商品の掲示板経由で出来の良し悪しを語り合うことになる。現在は大統領選真っ最中ということもあり、マケイン氏とオバマ氏が顔を並べているが、映画・ゲーム機・本などの選択もあると説明されている。

似たような機能は【世界投票に私も参加! Wiiで「みんなで投票チャンネル」のサービス開始】でも紹介したが、家庭用ゲーム機のWiiのインターネットサービスにも実装されている。「みんなで投票チャンネル」は個々が投票して結果を見て、「自分が多数の意見の中の一人であることを実感し、ネット上でのつながりを確かめる」楽しさを味わうところで完結していた。米アマゾンの「Amazon Meters」ではそれに加え、討論場や関連商品の情報を付加し、アマゾンそのものの利用者の購入意欲に寄与している。

「Amazon Meters」のメリットとは

「Amazon Meters」のメリットを箇条書きにすると次のようになるだろう。

・二者択一なので参加ハードルが低く、多くの人の注意関心を引き寄せる。
・世間で話題に登っているテーマについて利用者を「話に参加している」気分にさせ、対象商品への注目や購入意欲を高めさせる。
・ハードルの低い(=世間一般で注目されている)テーマを提供することで、利用者間のコミュニティ形成を促進し、「アマゾン利用者」という連帯感を植え付けさせる。
・アマゾンサイトの利用頻度そのものを高めさせる。


これらのメリットを見て分かるのは、先に導入された商品単位の掲示板以上に「利用者の横のつながり、一体感のアップ」をアマゾン側が模索しているように見えること。口コミ、バイラルマーケティング云々と結びつけるとキリがないのでここでは省略するが、意見のやりとりの中で購入機会につながりようなきっかけを提供したり、アマゾンサイトへの利用頻度を高めようとしているのが分かる。アマゾンにとって、とにかくまずはアマゾンのサイトに来てもらうことが最優先事項なのだ。

オバマ氏マスク装着イメージそれに大抵のものはそろっているアマゾンのこと。元々商品とは何の関係も無い話題に関する投票を実施しても、必ず何か関連する商品が存在する。現在の「マケインvsオバマ」を例にとっても、両候補の顔写真を使ったマスク(恐らく選挙の応援の際に使うのだろう)などへのリンクが設定されている。一見何ら商品販売とは関係のない機能のように見えて、巧みに商品購入へのガイダンスが用意されているあたり、アマゾンらしい。

日本のアマゾンには導入される、かな?

さてアマゾンジャパンに導入される見込みはどうだろうか。機能そのものはプログラム的には簡単なように見える。掲示板は既存のシステムを流用すれば問題は無い。投票システムもさほど難しくないはずだ。一方で題材の選定には頭を抱えるだろう(米アマゾンとは別の、独自のグラフィックの描き起こしも必要になるかもしれない)。しかしそれもハードルが高い、というほどのものでもない。

そしてメリットはかなり大きいはずだ。アメリカと比べて日本では普及度の高い携帯電話向けにも提供すれば、簡単な投票だからこそ、大いに利用されることになる。掲載プロセスの内部的なルール作りが必要となるが、導入そのものはそう遠くないと考えて良いだろう。


商品を直接買うのではなく、投票したり、意見を書き込むためにアマゾンへアクセスする。そしてついでに買い物をしてしまう。そのような人も出てくることを考えると、アマゾンは「Amazon Meters」などの機能を次々に送り出し、単なる通販サイトではなく「通販も使えるコミュニティサイト」を目指しているものと推測される。

そしてコミュニティの場において促進されることが多い、口コミ効果のさらなる飛躍を狙っているのだろう。それこそまさに、主婦の井戸端会議で話題に登ったオススメ商品が、彼女らの仲間内であっという間に広まっていくように。



今件の話とは主旨が異なる、やや蛇足的な話を一つ。今記事での画像を撮影中に気がついたのだが、ハロウィンが近いこともあり、ハロウィン関係のアイテムが色々と「オススメ商品」として表示されていた。トップページにはローテーションでいくつかの組み合わせが映し出されるのだが。

米アマゾンオススメのハロウィン向け衣装
米アマゾンオススメのハロウィン向け衣装

確かにハロウィンは仮装パーティーの面もあるけれど、これにはさすがに画面越しに突っ込みを入れさせてもらった(笑)。海賊(Pirates)も魔女(Witches)もお色気むんむんな女性で、メイドさん(Maids)にいたってはハロウィンの仮装には場違いな感すらある。

……いや、確かに利用者の注意関心を引かせるという点では間違ってはいないのだろうけれども。


(最終更新:2013/08/02)

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