92%の女性が「経済でストレス」~金融危機で深まるアメリカのストレス社会化
2008年10月10日 19:40
アメリカ心理学会(APA、the American Psychological Association)が10月7日に発表したところによると、アメリカの多くの人、とりわけ女性が経済状態の悪化を重大なストレス原因として感じていることが明らかになった。アメリカ発の金融危機、さらには資源高などもあわせた経済不調が、アメリカ人自身の精神にも大きな負担となっていることがうかがえる(【発表リリース】)。
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今調査は今年4月から9月までの間に3回に、わけて合計6829人に対してインターネット経由で、18歳以上のアメリカ国内に居住する人に対して行われたもの。
調査結果の概要を(経済面においてのみ)箇条書きにまとめると次のようになる。
・約半数のアメリカ人は「家族からの経済的要望」に答えられないことに対し、ストレスを感じている。
・4月に経済的な面からのストレスを感じる人は66%だったが、9月には80%に増加した。
・男性と女性では女性の方がストレスを感じる割合が強い。男性対女性では、「お金……78%/83%」「経済……75%/84%」「雇用……55%/57%」「住宅費……58%/66%」「健康……63%/70%」(すべて(男性/女性))となっている。
・中堅層の女性(44~62歳)と壮年層の女性(63歳以上)はもっとも大きなストレス要因として「経済」をあげている。
・中堅層女性のストレスは4月から9月の間に、「健康……70%から87%に」「経済……74%から92%に」「お金……62%から77%」の項目で大きく跳ね上がっている。一方で若年層は住宅費やお金に関するストレスが大きい。
報告書ではこの他に食生活や健康に関するストレスの増加を述べつつ、APAの心理学者Katherine Nordal博士によるコメントとして「金融危機による経済状態の急速な悪化が、とりわけ女性のストレスの大きな要因となっている」と警告、さらに「このような高いストレス状態が続けば、彼女らは心身共に大きく病んでしまう可能性が高い」と述べている。
ストレスの増加が心身共に悪い影響を及ぼしはじめると、その兆候として「食欲の変化」や「頭痛」「胃痛」「心労」「疲れやすさ」「滅入り感」などが現れる。このような傾向が自分や周囲の人に見受けられたら注意すべきだとしている。それと共に、周囲の状況に耳をすませ(て自分の世界に閉じこもることなく開放感を得)、一方で過剰反応や過大表現をしている報道などにはあまり耳を傾けないようにした方が良いともアドバイスしている。もし自分にストレスを感じているのなら、一人で悩まずに家族や友人など相談を持ちかけられる相手、あるいはカウンセラーの扉を開くのも手だとのこと。
経済状態が大幅に悪化し社会不安が増加しているのに、ストレスが逆に減ったらそれはそれで怖いものがある。だが、度合いは別にしても女性の92%が経済でストレスを感じているというのは少々危険な気がする。金融危機による経済状態の悪化が、直接的な要素としてだけでなく、間接的な(つまりストレス増加による)社会情勢の悪化に容易につながりうることを考えれば、今後色々と憂慮すべき事態も起きてくるものと思われる。
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