5年間で金額も家計に占める重みも約3倍・ネットショップは生活必需インフラへ
2008年10月02日 12:00
総務省は9月30日、ネットショッピングの状況に関する調査報告書を発表した。それによると、この5年間でインターネットショッピング(ネットショッピング)への「平均支出総額」及び「家計の支出総額全体に占めるネットショッピングの利用額の割合」は共に約3倍に増加していることが明らかになった。インターネットの環境が整備され、多くの業者が参入するなど選択肢も増えて利用のためのハードルが低くなることにより、ネットショッピングが少しずつ身近なものとなりつつあることを証明するデータといえよう(【発表ページ】)。
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今調査報告書はこれまで総務省が取得してきた各種統計データの中から「家計消費状況調査」「社会生活基本調査」などを元にデータを再構築したもの。今回取り上げるデータは「家計消費状況調査」からのものになる。
2002年から2007年における、1世帯におけるネットショッピングの年間平均利用額と、その額が世帯全体の支出に占める割合の変化を示したのが次のグラフ。
1世帯におけるネットショッピングの年間平均利用額と、その額が世帯全体の支出に占める割合の変化
縦軸のとり方が変則的なので少々分かりにくいが、この5年間で利用総額も支出総額に占める割合もほぼ3倍に増加している。世帯そのものの収入がこの5年間ほとんど変化していないのだから、利用額が増えれば全体の支出に占める割合が同じ割合で増加するのは当然のお話。とはいえこの急成長ぶりと、今では世帯における1年間の支出総額の約1%がネットショッピングによるものという現実をあらためて見せ付けられると、あらためてネットショッピングが「通販」の世界では革命的なものであるのかが理解できよう。
あくまでも上記のグラフは世帯全体の平均。世帯主の年齢構成別に利用額と支出割合を見ると、興味深い傾向が見られる。
二人以上の世帯における世帯主の年齢構成別の、「1世帯におけるネットショッピングの年間平均利用額」と「その額が世帯全体の支出に占める割合」(2007年)
このデータを見ると、利用額がもっとも多いのは40歳代で6万円後半、それに対し「世帯全体の支出に占める割合」がもっとも大きいのは30歳代ということになる。40歳代の方が額が増えているのに割合が減っているのは、もちろん40歳代の方が支出全体の額(≒収入)が多いからに他ならない。生活必需品か、それとも趣味娯楽商品かまでは測りかねるが、中堅層の40代も積極的にインターネットを使ってお買い物をしているのは確かなようだ。
数年前に某大手ネットモール(電子商店街)のトップに関するネガティブな報道を記事にした時、女性と思われる読者の方から「このモールは私にとってライフラインのようなもの。無くなっては絶対に困る」という意見をいただいた。インターネットが普及してからまだ半世紀も経過していないし、ましてやネットショッピングが多くの人に利用されるようになったのは前世紀末あたりから。わずか10年前後の間で消費者から「ライフライン」「無くてはならないもの」と言わしめるほどまでに、生活に深く浸透しているのか、と驚かされたことがあった。
「無ければ死んでしまう」までの必要度かは、個人の利用度にもよる。だが、今データを見る限り、インターネットそのものの普及と共に、それを用いたネットショッピングが静かに、しかし着実に人々の生活に普及しつつあることだけは確かなようだ。
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