消費者の生活防衛色が強化…2008年9月度のチェーンストアの売上高、前年同月比-2.2%
2008年10月25日 12:00
【日本チェーンストア協会】は10月22日、チェーンストア(スーパーやデパートなど)の2008年9月度における販売統計速報を発表した。それによると9月は天候が前半は晴れの日が多かったものの後半は雨・曇りの日が多く、天候的な要因が悪化。さらにガソリン価格の高騰が続くなど経済状況の不安定化から消費者の生活防衛色が強まり、総販売額は前年同月比を下回ってしまった。消費者の消費マインドがますます落ち込んでいることを改めて実感させる内容となっている(【発表リリース】)。
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今調査結果は協会加入の71社・8680店舗に対して行われている。店舗数は先月比で83店舗増、前年同月比で10店舗減。売り場面積は前年同月比99.2%と0.8%ほど減っている。企業数はそのままであり、業界全体の引き締めムードが拡大しているようにも見える。
8月の統計データでは店舗数・売り場面積・従業員数・売り場面積あたりの売上額すべてにおいて前年同月比マイナスの値を示していたが、今月発表分の9月分データでもその傾向が続いてしまった。特に売上高が前年同月比で95.1%と大幅減少の状態にあることから、各企業が非常に厳しい状況に追いやられているのが分かる。また従業員数も-3.8%と先月同様に大きく数を落としている。
分野別では前年同月比でそれぞれ次のような値が出ている。ちなみに数字はすべて店舗調整後(1年前のと比較するため、昨年存在しなかった店舗の分を除いた値)によるもの。
■総販売額……1兆0262億2266万円
・食料品部門……構成比:64.0%(前年同月比97.7%、▲2.3%)
・衣料品部門……構成比:9.8%(前年同月比94.8%、▲5.2%)
・住関品部門……構成比:19.6%(前年同月比96.5%、▲2.2%)
・サービス部門…構成比:0.4%(前年同月比103.5%、△3.5%)
・その他…………構成比:6.0%(前年同月比105.1%、△5.1%)
景気の厳しさが
売上全体を
大きく引き落とす
9月は前半は晴れの日が多かったものの、後半は台風や低気圧の影響で天候不順の日が多く、さらに日取りも昨年と比べて土日が1日少なかったこともあり、事前状況はネガティブ。さらに消費者の景気判断を悪化させる要因が次々と現れ、買い物をひかえる傾向を後押ししている。先月は比較的堅調だった食料品も今月は大きくマイナスの値を示し、主要品はほぼ壊滅状態。サービス・その他は堅調だが、全体に占める割合が両方あわせても6.4%では、スズメの涙程度にしかならない。
食料品はダイエットブームでまさに「飛ぶように売れている」バナナをのぞけば、あまり思わしくない。野菜そのものの価格が下落気味ということもあり、数が売れても利益がさほど得られない状態。
衣料品は天候のせいもあり傘などの雨具は売れたが、あとは好調・不調がまちまち。先月よりは多少「好調」の項目が増えたようにも見える。住関品は行楽アイテムやおもちゃが不調。また天候不順でエアコンなどもかんばしくない。
いくつかの消費者の消費動向データや調査結果などからも、「スーパーやデパート」「コンビニ」「100均などの安売り店」など、消費者は各種類店舗毎に購入アイテムを見極め、安いものをつまみ食いならぬ「つまみ買い」する傾向が強まっている。一方で「郊外型総合マーケット」でまとめて購入するパターンも増加しているが、これは「買い物そのもの」「家族でのお出かけ」を兼ねた、旅行・休暇の楽しみの中で買い物「も」行う「時間と手間の節約」志向によるもの。これはまさに、かつてデパートが担っていたポジションが奪われていることになる。これでは集客が得られなくても仕方が無い。
スーパーやデパートも経済状況や消費者動向を見極め、消費者の「消費の流れ」やニーズにあった「変身」をすることがもとめられているのかもしれない。
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