平均金融資産額は1152万円、一方で無貯蓄世帯は2割超え

2008年10月29日 19:40

金融資産イメージ金融広報中央委員会は10月28日、2008年の「家計の金融行動に関する世論調査」の結果を発表した。それによると、2008年6~7月時点の1世帯あたりの平均金融資産額は1152万円であることが明らかになった。一方で中央値は430万円となっており、富の集中の様相が見て取れる(【発表リリース、PDF】)。

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今調査は6月10日から7月18日の間、世帯主が20代以上で世帯員が2人以上の全国の世帯7968世帯を対象に行われたもので、回収率は48.8%・3886世帯。調査方法は訪問と郵送の複合・選択式。

「貯蓄を保有していない」という世帯を含めた全体における金融資産の保有平均額は1152万円、回答者を金融資産保有額の多い順に並べて真ん中の人の金融資産(中央値)は430万円となった。

直近5年間の平均金融資産と金融資産中央値の推移
直近5年間の平均金融資産と金融資産中央値の推移

特に今年と去年の違いを見てみると、平均金融資産が-8.5%なのに対し、中央値は-14.0%と2倍近い下げ率を見せている。これは去年より今年の方が、金融資産における下位層が増加したことを示すのに他ならない。持てる者の間でも、「多くもつものはそれなりに、少なきものは相当資産を減らしている」ことが分かる。

以前似たようなデータを提示した際、「貯蓄そのものが無い人は?」という意見をいただいている。そこで今回は貯蓄が無い世帯こと「無貯蓄世帯比率」なども掲示してみることにする。上記の平均金融資産と比べるため、過去5年間分の無貯蓄世帯比率と、年収別の無貯蓄世帯のグラフはこちらになる。

無貯蓄世帯比率
無貯蓄世帯比率
年収別無貯蓄世帯比率
年収別無貯蓄世帯比率

過去5年間に限りると毎年ほぼ変わらず2割強の世帯が無貯蓄ということになる。元データをご参照いただけると分かるのだが、実は無貯蓄世帯比率が増加したのは、データがPDF上で公開されている1999年以降じわりと増加の一途をたどっている。また、年間収入別で見ると、「収入が無い層」「300万円未満」の低所得層において「無貯蓄世帯比率」が増加していることが分かる。

年収300万円以下の
三人に一人は
金融資産ゼロ

直近のデータでは無収入の人の半数近く、300万円以下の人の3割強が金融資産がゼロという結果が出ている。それぞれの世帯の事情はあるだろうが、その多くが生活していくので精一杯で、とても貯蓄には回せない状況が容易に想像できる。

一方、年収1000万円以上の階層においても、1割前後の人が「金融資産を持っていない」と回答している。こちらも個々のライフスタイルやこだわりがあるのだろうし、金融資産以外の資産(例えば不動産資産など)があることも容易に想像できるが、それでもやや無用心である印象が強い。

ともあれ、中央値と平均値の違いもあわせ、金融資産の観点で見ると「持つものと持たざるもの」の差異が大きく生じていることがデータからもお分かりいただけるだろう。

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