日経平均株価の上昇率上位ランキングをグラフ化してみる(10月30日版)
2008年10月31日 06:30
すでに[株式市場雑感(08/10/30)]などでお伝えしているように、2008年10月30日の東京株式市場はFRBの利下げや裏づけのない空売りに対する規制強化、直近の底打ち感、アジア諸国市場の株高、為替レートの復調、個人投資家に注目されている銘柄が上げはじめて身動きが取れやすくなったこと(ソフトバンクなど)などさまざまな要素を受けて全面高の展開。特に後場に入ってアジア諸国の株価上昇を受けてからの上げ方はすさまじく、終値ベースの日経平均株価は前日比817円86銭高・+9.96%となった。これは上昇率では過去4番目の大きさとなる。またもや短期間のうちに「上昇率」「下落率」の上位記録が塗り替えられるのも色々と複雑な心境ではあるが、幸いにも今回は上昇率の方が書き変わるということもあり、少々ハッピーな気分になりながら、表の更新と共にここに書き記しておくことにする。
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先の【日経平均株価の下落率上位ランキングをグラフ化してみる(10月10日版)】や【日経平均株価の下落率上位ランキングをグラフ化してみる】、さらには【日経平均株価の下落率上位ランキングをグラフ化してみる(10月16日版)】にもあるように、今月半ばにおいて日経平均株価の歴史に刻まれるようなレベルの下げ幅が相次いで記録された。しかも8日水曜・10日金曜には「週内に二度に渡る」という、投資家にとっては悪夢のような一週間も我々は経験している。
その上10月14日は【日経平均株価の上昇率上位ランキングをグラフ化してみる】に記した通り、史上最大の上げ幅を記録するに至り「10月半ば以降だけで、東京株式市場は下落率上位10位以内のうち3回分の下げ幅、史上最大の上げ幅を記録」していた。その後22日にいたり、過去直近の3回の大幅下落率こそ上回らなかったものの、史上10番目の下落率を記録する急落が起き、さらに24日には史上5番目の下げ率を記録。早くも22日の記録は上位10位から外れる始末となった。そして30日にはリバウンドと呼ぶには大きすぎる上げ幅、史上4番目の+9.96%をつけたことになる。
さて、日経のサイト上にある、日経平均株価の下落率ランキングを見てみることにする。10月30日の数字も反映された、記事執筆時点で最新のもの。
2008年10月30日時点の、日経平均株価上昇率ランキング
先日記録した+14.15%という化け物のような上昇率にははるかに及ばないものの、歴代第4位というのは立派な「歴史的上昇率」といえる。なお、下げ率の解釈については[日経平均株価の下落率上位ランキングをグラフ化してみる]を参考のこと。
ちなみに今回は、2008年10月に記録した分は30日の赤以外を青で囲ってみた。下落率の表ほどではないが、いかに昨今が異常事態であるかがあらためて認識できるはず。
今日の上昇の仕方は暴落時の「階段」が出ることもなく、じわじわと、そして何度か小さな調整を飲み込みながら駆け上がっている。何か大きな材料があったわけではなく、強いて言えば「買われていること」が材料だといえる。
2008年10月30日の、日経平均株価推移
続いてこれを、日経平均株価の記録が残っている1949年以降の株価推移のグラフと共に、例の「下落率10位までと上昇率5位までを加味した図」として形成することにする。今日10月30日分が第4位に入るので、これまで第5位だった1997年11月17日の7.96%は今グラフから押し出されることに。ますますきゅうくつになる2008年10月。どうにかしろ。
日経平均株価推移と、日経平均株価下落率上位10位・上昇率5位までまで(2008年は10月30日時点の株価)(クリックして拡大)
無理やり縮小したのでかなり読みにくくなっているが、クリックして細部を確認してほしい。なお上昇率の上位選択を五位までにしたのは、これ以上増やすとグラフそのものが文字で埋め尽くされかねないことと、上昇率においてはこれより下はあまり差異がなく、掲載の意味が薄いため。下落率が10位までなのは区切りを良くするため。
このようにして見ると、(先の日経専用ページの一覧表同様に)いかに10月8日からの市場展開が歴史的で特異な期間であることが分かる。何しろ「下落率第二位・第四位・第五位・第六位」「上昇率第一位・第四位」の日をすべて含むのだから。特に下落率については10位中4つ、までもがこの短い期間内に集約されていることになる。5位以内に絞れば、10月以外のものは「ブラック・マンデー」と「スターリン・ショック」しかない。この急変動の相場展開でいったい何人の個人投資家が退場を余儀なくされたのだろうかと思うと、胸が痛む。
以前の記事の繰り返しになるが、これほどまでに乱高下な展開となるような市場動向は、過去に類を見ないと断じて良い。レバレッジをかけた取引の場合、ちょっとしたミスが言葉通り命取りとなる場合もある。過流動性やスタンピード現象が顕著に見られることもあり、くれぐれも個人投資家諸氏には注意してほしいところである。本日も初心者と思われる売り方の阿鼻叫喚の様相を、あちこちで見受けられただけに、色々と複雑な心境ではある。
直近では底を打ったように見える相場展開だが、昨今の下げを演出した要素がすべて解決されたわけではない。油断をしているとあっという間に足元をすくわれかねない。くれぐれも慎重かつ冷静な対応を心がけて欲しい。
(最終更新:2013/08/02)
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