日経平均株価の下落率上位ランキングをグラフ化してみる(10月24日版)

2008年10月24日 19:40

10月24日暴落イメージすでに[株式市場雑感(08/10/24)]などでお伝えしているように、2008年10月24日の東京株式市場は前日のアメリカ市場はやや堅調に推移したにも関わらず、国内外の経済の先行き後退感、さらには猛烈なユーロ安・ドル安をきっかけに輸出産業関連銘柄が思いっきり売り込まれ、値がさ株を中心に全面安の状態となった。先々週のように日経平均先物のサーキットブレーカーが発動するような下げ方ではなく、じわじわと下げるという、足元が突然無くなるような、大変気持ちの悪い値の下げ方を見せた。額面上の下げ幅もかなり大きめで、日経平均株価が低い水準にあるため、終値ベースでは日経平均の下落率は-9.60%をつけ、先日10月8日につけた-9.38%を上回り、史上5番目の値を記録した。ここまで短期間のうちに「上昇率」「下落率」の上位記録が塗り替えられるのも色々と複雑な心境ではあり、「今後下落率では10位以内が差し替えられない限りこの図の更新はしない」と宣言したばかりのことだけに、頭も自分のポートフォリオも非常に痛いものがあるが、表の更新と共にここに書き記しておくことにする。

スポンサードリンク

先の【日経平均株価の下落率上位ランキングをグラフ化してみる(10月10日版)】【日経平均株価の下落率上位ランキングをグラフ化してみる】、さらには【日経平均株価の下落率上位ランキングをグラフ化してみる(10月16日版)】にもあるように、今月半ばにおいて日経平均株価の歴史に刻まれるようなレベルの下げ幅が相次いで記録された。しかも8日水曜・10日金曜には「週内に二度に渡る」という、投資家にとっては悪夢のような一週間も我々は経験している。

その上10月14日は【日経平均株価の上昇率上位ランキングをグラフ化してみる】に記した通り、史上最大の上げ幅を記録するに至り「10月半ば以降だけで、東京株式市場は下落率上位10位以内のうち3回分の下げ幅、史上最大の上げ幅を記録」していた。その後22日にいたり、過去直近の3回の大幅下落率こそ上回らなかったものの、史上10番目の下落率を記録する急落が起き、さらに24日には史上5番目の下げ率を記録。早くも22日の記録は上位10位から外れる始末となった。

さて、日経のサイト上にある、日経平均株価の下落率ランキングを見てみることにする。10月24日の数字も反映された、記事執筆時点で最新のもの。

2008年10月24日時点の、日経平均株価下落率ランキング
2008年10月24日時点の、日経平均株価下落率ランキング

当然のことながらトップには相変わらず(そして幸いにも)1987年10月20日の「ブラックマンデー」における-14.90%が座している。第二位には16日の-11.41%が。そして第3位には歴史的事実として名高い、1953年3月5日の「スターリンショック」における-10.00%がその位置を占めている(それぞれの下落時の説明は「日経平均株価の下落率上位ランキングをグラフ化してみる」を参考のこと)。今回の24日の下げ幅はギリギリ第四位の-9.62%には及ばなかったものの、非常に大きな下落率であることに違いは無い。

ちなみに今回は、2008年10月に記録した分は24日の赤以外を青で囲ってみた。いかに異常事態であるかがあらためて認識できるはず。

先の「雑感」でも多少触れているが、24日の下げ方はリアルタイムに進行する状況の悪化(アジア市場の株安や為替レートの円高化)に伴い、市場に渦巻いていた不信感、懸念感が増幅され、売りのスタンピード現象(野生動物が驚きのあまりに一斉に同じ方向に走り出す現象)が起きたものと思われる。特に引けにかけての猛烈な売り込みは現象そのものである(あるいはそれを見越して売り方が思いっきり売り増したと見ることもできるが)。

2008年10月24日の、日経平均株価推移
2008年10月24日の、日経平均株価推移

今回の急落は寄り付き前に壮絶な売り材料が出ていたわけではなく、「何となくポジションの保持は危険かも」という雰囲気が加速し、それにファンドなどの換金売りが後押しする形で市場の値を下げ、悪循環に陥った感がある。いくつかの銘柄を見ても、それなりに値を保持していたにも関わらず、じわじわと下げ始め、それが段々と、しかも加速度的に売りこまれて値を下げていく様子が確認される。

続いてこれを、日経平均株価の記録が残っている1949年以降の株価推移のグラフと共に、下落率10位まで(要はこれまでのに24日のを追加した)、そしてせっかくなので上昇率5位までを加味した図を作ってみることにする。先日22日で下落率上位10位までが収まることになり、それなりに体裁が整ったので扱い数の拡張は打ち止め。従って、今回の第5位が入ることで10月22日に記録した10位の-6.79%は、図からは消えることになる。

日経平均株価推移と、日経平均株価下落率上位10位・上昇率5位まで(2008年は10月24日時点の株価)(クリックして拡大)
日経平均株価推移と、日経平均株価下落率上位10位・上昇率5位までまで(2008年は10月24日時点の株価)(クリックして拡大)

無理やり縮小したのでかなり読みにくくなっているが、クリックして細部を確認してほしい。なお上昇率の上位選択を五位までにしたのは、これ以上増やすとグラフそのものが文字で埋め尽くされかねないことと、上昇率においてはこれより下はあまり差異がなく、掲載の意味が薄いため。下落率が10位までなのは区切りを良くするため。今後今日の下落率(10位)を上回らない限り、この下落においてこのグラフを描きなおしするつもりはない。……と前回書いて、二日後にこの有様である。

このようにして見ると、(先の日経専用ページの一覧表同様に)いかに10月8日からの市場展開が歴史的で特異な期間であることが分かる。何しろ「下落率第二位・第四位・第五位・第六位」「上昇率第一位」の日をすべて含むのだから。特に下落率については10位中4つ、までもがこの短い期間内に集約されていることになる。5位以内に絞れば、10月以外のものは「ブラック・マンデー」と「スターリン・ショック」しかない。やれやれだ。

以前の記事の繰り返しになるが、これほどまでに乱高下な展開となるような市場動向は、過去に類を見ないと断じて良い。レバレッジをかけた取引の場合、ちょっとしたミスが言葉通り命取りとなる場合もある。過流動性やスタンピード現象が顕著に見られることもあり、くれぐれも個人投資家諸氏には注意してほしいところである。……もう何度も繰り返したから、大丈夫だとは思うが。


今回の「下げ」ではっきりしたのは、「割安だから買いが入り」そうな状況でも「近未来の業績を考えるとまだ割高」というより、「まだまだ下がるかもしれないからここでは買わない」という市場心理が支配的であること。これをつく形で空売り勢が空売りをかけ、ファンドや金融機関はせっせと売り続けて現金化しているのだから、下げないはずが無い。

このままでは先に冗談交じりに記した「半値八掛け二割引き」の話が現実味を帯びてくることになる。元々当方の予想は「予想」というより「推測」に近いものがあるが、ここまで来るとそうも言っていられなくなりそうだ。とりあえず直近の抵抗線は2003年4月につけた7603円76銭。仮にこの値を超して売り込まれることがあれば、心理的に更なる投げが起きることが予想される。

手元のツール(HYPER SBI)では過去20年分までのデータしか表示できないが、グラフ化した時に抽出した年次データでは、……チャート的に底が見えない。1970年代に記録した5000円~6000円が目安になるのだろうか。これもまた例の「32の法則」こと「半値八掛け二割引き」と一致するから、困ったものである。


(最終更新:2013/08/02)

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

スポンサードリンク



 


 
(C)JGNN||このサイトについて|サイトマップ|お問い合わせ