警察庁、新型インフルエンザ流行時の行動計画を通達・医療機関の警備や機動隊投入も明記
2008年09月20日 19:30
警察庁は9月17日、新型インフルエンザが日本国内で流行した場合における行動計画「警察庁新型インフルエンザ対策行動計画の策定について」を決定し、これを各都道府県警察など関係機関に通達した(インターネット上での公開は9月19日から)。全41ページに渡る分量の計画書で、万一の際には警察機関はこの計画に基づいて行動することになる(【発表リリース、PDF】)。
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新型インフルエンザが日本国内で流行する、あるいはその可能性が極めて高くなった状況においては、各方面で混乱が予想されるため、法的拘束力と実行力を持つ警察機関による統制が必要になる。今回の行動計画はその指針となるもの。
行動計画書は大きく分けて「新型インフルエンザの国内発生に備えた措置」「新型インフルエンザの国内発生時における措置」「事態終息後における措置」の3つから構成されており、それぞれの状況下において警察がどのような行動をとるかが示されている。大きく概要を示すと次のようになる。
●新型インフルエンザの国内発生に備えた措置
・海外で新型インフルエンザが発生し、国内への波及が予想されると判断された時点で対策室、段階を経て対策本部を設置、情報収集と支援体制の整備に取り掛かる。
・関連省庁との連絡強化、具体的な支援(人員の派遣など)。
・感染者と接触する可能性がある職員には逐次プレパンデミックワクチンの接種。
・国内流行時の体制作り。資材の備蓄。
●新型インフルエンザが国内で発生した時における措置
・対策本部の設置、連絡体制の強化、備蓄資材の活用。
・職員に逐次プレパンデミックワクチンの接種。
・不特定多数の集まる活動の延期、中止指示(感染拡大防止のため)。
・各種交通規制の実施。治安維持のため医療機関や空港などでの警備も実施。場合によっては機動隊も投入し、事態の沈静化を図る。
・積極的な情報活動と、混乱に乗じた犯罪の取り締まり。機動隊の投入含む。
●事態終息後における措置
・状況に応じて職員を通常業務に復帰。
特筆すべきなのは、新型インフルエンザの国内流行可能性が高まる段階において、それぞれ順次高次元の対策本部を設置し、状況に応じた事前準備策を取るような指針が設けられていること。いわばアメリカ国防総省をはじめとする軍事関係部門における「デフコン」に近いものがある(いっそのことそれに準じたレベルわけをした方が分かりやすいのだが)。
また、大規模な感染、あるいはそれに準ずる状況下で発生しうる社会的混乱に対し、具体的な数字などによる認定ラインを設定しているわけではないが、警察力による警備、そして必要ならば「運用」(実力行使)、さらには機動隊の「投入」までも明確に表記したことが注目に値する。今回の行動計画の通達により、実際に新型インフルエンザが流行しうる、あるいは流行の気配を見せた時、警察による国内の治安体制の強化を図るための裏づけが出来たことになるからだ。
もちろんこのような状況は起きないに越したことはない。しかし人間の思惑でどうにかなるものでもないのも事実。「まさか」のための体制作りをしておくことは、行政機関にとって必要不可欠といえよう。
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