魔法学校の開設が子どもたちを大きく成長させる
2008年09月19日 06:30
【Mail Online】によれば、学校内で先生が手品を生徒に披露し、生徒たちに学ばせることで、生徒の社交性を高め自立心や洞察力など、社会学的な能力を鍛え上げられるという調査結果が発表された。12歳の生徒から成るクラスにおいて、通常の生活指導授業のコマの代わりに「魔法学校(と名づけられた手品の時間)」を設けたところ、「魔法学校」を受けたクラスの生徒たちは良好な成績を収めたのだという。
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この研究を行ったのはHertfordshire大学で心理学を研究しているRichard Wiseman教授。教授は「魔法学校」を通常事業のカリキュラムに含めるべきであると力説している。いわく「魔法(=手品)を学ぶことで生徒たちは自己規律、そして他人がどう思っているのかを推し量る洞察力、さらには他人を喜ばせる能力を身につけることができる。そしてテレビゲームと違い、友人や家族と語らいを持つことすらできる。このカリキュラムの実践こそ、ユニークではあるが、心理学上の素晴らしい効果を導くだろう」とのこと。
Wiseman教授による実験は次のように行われた。以前本物のマジシャンだった協力者を集め、さらに2つの小学校から10歳~12歳の生徒60人が集められた。そして半数の生徒は「魔法学校」を実践。切ったロープを元に戻したり、適当に選んだカードの中身を当てるという「魔法(手品)」を学んだ。単なるトリックの説明だけでなく、どのようにすればお客の注意を引きつけ、「観客にばれないように手品を披露できるか」というプレゼンテーションの手法まで学んだ。残りの半分は通常の生活指導授業(尊敬できる人たちの話を聞いたり自己規律について学んだり、討論やロールプレイによる進行。日本なら「道徳」の時間か)を実施した。
教授たちは実験の前後、そして二週間後においてアンケートを生徒たちに実施。その結果、両グループとも自信や社交性の上昇が見られたが、特に「魔法学校」は高い効果が得られたと報告している。とりわけ元々内気だった子どもに高い効果が得られたとのこと。さらに二週間後に計測したデータでもその効果は消えずに持続していた。仮に定期的に「魔法学校」が定期的に開設されていれば、その効果はさらに蓄積・長時間に及ぶことだろう。
「魔法学校」では「魔法(手品)」を学び、その成功を収めるために必要なこと、具体的には繰り返し練習すること、そして自己規律と集中力も自然に身につけることができる。プレゼンテーションのスキルも会得できるし、成功すれば自分への自信も深められる。他人の考えていることを注意深く観察するようになるため、社交性も高められる。非常に効果的なことばかりである。
集中力、自己規律、観察力
洞察力、プレゼン能力など
多種多彩な社交技能を
学ぶことが出来る
教授は同時に、「魔法学校」が他の通常授業(算数や科学、読み書き)と差し替えられるべきではないし、比較するものでもないと語っている。しかしその効用を見る限り、何らかの形で教育課程に加えるべきだとも述べている。また学校でなくとも、自宅で親子の間で「魔法」を学んでも効果的だともコメントしている。
指摘されてみれば確かに「手品」は集中力、手際のよさ、さらには観客の注意を引きつけ披露するというプレゼンテーション能力が必要となるため、さまざまな点で社会的な技術の鍛錬を訓練することができる。「手品など道楽だから、学校で学ぶことなど問題外」とする声も出てこようが、その「道楽」こそが人間関係を育むには必要なのかもしれない。
(最終更新:2013/09/06)
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