魚と野菜を中心に、外食は敬遠……高齢者の食事傾向をかいま見る

2008年09月16日 06:30

和食の食卓イメージ総務省統計局は9月14日、敬老の日にちなんで高齢者人口に関する調査結果を発表した。それによれば2007年における高齢者世帯(世帯主が65歳以上の世帯)における消費支出のうち、食料出費の詳細において、「魚介類」「野菜・海藻」などの出費割合が総世帯と比べて高いことが明らかになった。また、「外食」の割合が大きく落ちていることから、高齢者世帯では総世帯よりも自宅で食事する割合が高いことがうかがえる(【発表リリース】)。

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総世帯及び高齢者世帯における食料費の割合はそれぞれ22.9%・24.2%。俗にいうエンゲル係数(消費支出に占める食料の割合。生活水準を推し量る一つの指針で、低い方が生活が豊かとされている)は多少ながらも高齢者世帯の方が高いことがわかる。具体的な食品群ごとの、「絶対額」ではなく「支出に占める割合」を比較したのが次のグラフ。

総世帯及び高齢者世帯の消費支出に占める食料の構成比
総世帯及び高齢者世帯の消費支出に占める食料の構成比

高齢者世帯の食生活をかいま見れるグラフといえる。具体的に見えてくるポイントを箇条書きにすると次の通り。

・魚介類や野菜類、果物、乳卵類を多く取り、健康的な食生活を目指している
 (魚介類と野菜類は絶対金額上も高齢者世帯の方が高額)
・外食への負担がかなり少なく、自炊をすることが多い。


元々収入額、そして可処分所得が総世帯と比べて少ない高齢者世帯ではエンゲル係数が高いこともあり、各食料項目への割合が高くなりがち。それを考慮しても魚介類と野菜類の高さは特筆すべきであり、高齢者の食事が「お魚と野菜」を中心としていることが想像される。

また、全般的に総世帯よりも割合が高くなりがちな食料項目において、唯一大きな差をつけて総世帯よりも下の値を示しているのが「外食」。予算の都合上からか、高齢者が好む食事が提供されている場所が少ないからか、多くの高齢者は外食を好まずに自炊をしていることが分かる。

高齢者世代は逆算すると、戦中から戦前生まれということになる。肉食より魚食を好む、外食を避けるなどの傾向も、理解できる気がする。今後ファストフードやレトルト食品を多用する世代が「高齢者」のカテゴリに数えられるようになった時、この割合がどのような変化を遂げるのか、気になるところだ。

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