孫へのこづかい・医療費負担……高齢者世帯の生活像
2008年09月16日 06:30
総務省統計局は9月14日、敬老の日にちなんで高齢者人口に関する調査結果を発表した。それによると2007年における高齢者世帯(世帯主が65歳以上の世帯)における消費支出は21万8781円で、世帯全体の平均26万1526円より4万3000円ほど少なくなっていることが明らかになった。またそれぞれの世帯における支出内訳比率を見ると、高齢者世帯では「贈与金(孫へのおこづかいなど)などの交際費」「保健医療サービスや医薬品などの保健医療」の割合が世帯全体と比べて高い傾向が見受けられる(【発表リリース】)。
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総世帯と高齢者世帯それぞれについて、2007年における消費支出の内訳をグラフにしたのが次の図。
総世帯及び高齢者世帯の消費支出の内訳
高齢者ともなれば身体的な不安や実際の病気、さらには定期健診などの増加から、どうしても保険医療費が増してしまう。所得そのものが低いのだから、支出も抑えねばならず、その中でやりくりをしようにも抑えにくい項目であるだけに、全体に占める比率は自然とに高くなってしまう。
また、わざわざ資料に「贈与金などの」と前置きされている「交際費」の割合も高い。こちらは冒頭でも触れたように、子や孫などへのこづかいが少なからぬ額を占めているのだろう。また、自由時間が増えればそれだけ周囲の人との接触時間も増え、お茶をたしなむ機会も増える。これらの出費も交際費の増加に関係しているものと思われる。
一方で交通・通信費や教育費の割合は、高齢者世帯の方が低い。前者は自動車移動が少ないことや携帯電話の利用頻度の低さ、後者は定年後の「セカンドライフ」においては、さらに教育を受けるよりは「教養娯楽」の分野で楽しみながら学びの時間を堪能する選択肢を選んでいるからだろう。
これらのように出費傾向から、
・生活全般は一般世帯より少々キツめ(食費の割合=エンゲル係数が高い)。
・周囲との付き合いや孫へのおこづかい、健康維持のための医療費への負担が大きい。
・自動車や携帯電話はあまり使わない。
・勉学にいそしむより、楽しみながら教養を蓄積し、人生を楽しむ。
という高齢者のライフスタイルがおぼろげながら見えてこよう。よほどの資産家や退職金をたんまりもらった場合は別だが、多くの定年退職・年金生活者はカツカツの生活を過ごしている。おこづかいをもらう立場の人は、あまり無茶を言わないようにしよう。
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