【更新】本を買うなら大型書店とネット経由~厳しい個人書店の実情
2008年09月13日 12:00
C-NEWSは9月12日、読書に関する調査結果の一部を発表した。それによるとどこで本(雑誌やマンガ、電子書籍は除く)を購入するかという問いに対し、もっとも多くの人が回答した項目は「チェーンの大型書店」であることが明らかになった。「ネット上での購入」が続き、「個人経営の書店」は全体で2割にも満たないという結果も出ている。個人経営形態の小型書店の経営の難しさが、ここにも現れているといえよう([発表リリース])。
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今調査は8月31日から9月1日の間、15歳以上のインターネットユーザーに対して行われたもので、有効回答数は1000人。男女比は1対1で年齢階層比は10・20・30・40代・50歳以上で均等割り当て。
複数回答で「本をどこで購入するか」という問い(複数回答)への答えは次の通り。全体としては9割近くが「チェーンの大型書店」と回答している。
どこで本を購入するか(複数回答)
その他傾向をまとめてみると次の通りとなる。
・ほとんどの人が「チェーンの大型書店」で本を買い求める
・ネットオークションの利用率は20~40代が高い。10代が少ないのはパソコン保有率の低さ、50歳以上が少ないのはパソコン「利用」率の低さからと推測される
・ブックオフのようなチェーンの新古書店の方が、個人経営の書店や普通の古本屋よりも高い利用率を誇る
・個人経営の書店や古書専門店のような「旧スタイルの書店」は、相対的には壮齢層に人気がある
書店業界では「ブックオフのような新古書店が地方の本屋を廃業に追いやっている」という話をよく耳にするが、その言葉があながち言いがかりの類ではないことが分かる。また、高齢層はネット上やチェーンの大型店、新古書店など比較的新しいスタイルの本屋が苦手で、旧スタイルともいえる個人経営の書店や古書専門店を好む傾向が見られることも見て取れる。
「町の本屋さん」の表現がぴったりな、個人経営の書店が現在の流通機構や本を取り巻く環境の中では、生き延びることが難しいことはすでに【平均的な書店の「おサイフ事情」をのぞいてみる】や【書店の減り具合をグラフ化してみる】、【「書店の減り具合」と「書店の売り場面積動向」のグラフ化を仕切り直してみる】などで解説している。今調査は「本」を対象としており、雑誌や漫画などは考慮外ではあるが、状況的にさほど変わるところはないだろう(個人経営の書店が幾分雑誌に頼るところが大きい、という違いはあるが)。
買い手側、特に若年層の場所のニーズがチェーンの大型書店やネットショッピングなどに移行しているのを見る限り、今後一般の個人経営の書店や古書専門店がうまく立ち行くには、これまで以上に努力と工夫が求められることになる。個人経営の書店でしか出来ない、お客へ訴えかけることができる魅力を模索していかねばならないだろう。
(最終更新:2013/08/03)
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