夏祭りのポスターが「米兵募集」とウリ二つ!? 伊賀市ポスター騒動

2008年09月12日 06:30

市民夏のにぎわいフェスタ2008イメージ【中日新聞】が伝えるところによると、三重県伊賀市で8月24日に開催された夏祭り【市民夏のにぎわいフェスタ2008】のポスターが、かつてアメリカ陸軍が兵士募集に使用したポスターの絵柄と類似していると指摘され、「市民まつりにはふさわしくない」として同市市議会内で糾弾を受けていたことが明らかになった。

スポンサードリンク

市民夏のにぎわいフェスタ2008(左)と元絵とされたアメリカ陸軍の兵士募集ポスター
市民夏のにぎわいフェスタ2008(左)と元絵とされたアメリカ陸軍の兵士募集ポスター(右)

「市民夏のにぎわいフェスタ」毎年夏に伊賀市で開催されているお祭りで、フリーマーケットの「楽市」、そしてストリートパフォーマンスや展示などが行われる「楽座」が開催されるというもの。元記事によれば10日に開催された伊賀市定例市議会の本会議における一般質問で、共産党の森永勝二議員が「市民から怖い顔をしていると指摘があり、調べたところ米軍募集のポスターの引用だった。市民まつりにはふさわしくないのでは」という問いが市に対して行われた。

これに対して同市の今岡睦之市長は「市民から指摘を受け初めて知った。もう少し穏やかなポスターの方がよかった」と返答。問題があったことを認めたとのこと。また担当部局の部長も「気がつかなかったのは怠慢。来年は市民の理解を得られるものにしていきたい」とし、今回のポスターが不適切なものと判断するコメントをしている。

市当局によれば今ポスターの絵柄については「にぎわいフェスタ」の実行委員会メンバーが類似ポスターを他市の催しで見つけ、「遠くからでもインパクトがある」と実感し、絵柄に採用したとのこと。もちろんそのままの絵柄を使うわけにはいかないので、服装をジャケットから浴衣に変えたが、ポーズや顔の表情、帽子などはそのまま。元絵がどんなものか、どの絵のパロディなのかがひとめで分かるものとなった。この「にぎわいフェスタ」のポスターは1000枚が市内に張り出されたほか、同じ図柄のチラシ3万8000枚が市内全戸に配布された。

元絵となったポスターは第一次世界大戦中の1917年に、アメリカ国内で陸軍兵士の募集のために創られたもの。書かれている文面の意味は「アメリカ陸軍にはあなたが必要だ。近所の募兵窓口まで来て欲しい」。元絵が制作された意図そのものは一部の人にしてみれば確かに物騒な話で「市民の」理解が得られないかもしれないが、この絵柄自身はすでに「何かを募集したり求めたりする際の代表的なイメージカット」として多くの人に認知されており、今や軍事的な意図云々とは別の領域にある(そもそもこの絵柄を知っていても、実はアメリカ陸軍の募兵ポスターだったことまで理解している人がどれほどいるだろうか)。

それをわざわざ「米軍募集ポスターからの引用だから、市民まつりにはふさわしくない」ということにでもなれば、それこそジープやよろいかぶと、武士たちの様相、果ては将棋や囲碁など、由来が少しでも軍事的領域に触れるものすべてが「ふさわしくない」ということになりかねない。これが単に「怖い顔をしているから」だけの理由で見解を正したのならともかく、「米軍募集のポスターの引用だったから」で文句を述べるのはいかがな物かという感がある。

ロシアポスターイメージ少数の意見「も」尊重することは、多数主義的な社会構造において必要不可欠な要素ではある。しかしそれを濫用されると、すべての行動においてがんじがらめにされてしまい(あるいは自主規制を余儀なくされ)、結局何もできなくなってしまう。それこそ「彼ら」濫用しようとしている側が、もっとも嫌う状況ではないかと思われるのだが、どうだろうか。

……あるいは、「アメリカ」陸軍兵募集だから難癖をつけられたのかもしれない。ロシアや中国あたりのポスターを使ってみたら、「市民」はどのように反応するのか、それを見てみたい気もする。

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

スポンサードリンク



 


 
(C)JGNN||このサイトについて|サイトマップ|お問い合わせ