テクモ、スクエニの照会に回答「あなたのには時間と選択肢が無いから選びませんでした」
2008年09月09日 06:30
【テクモ(9650)】は9月8日、先の【スクウェア・エニックス(9684)】から照会されていた、友好的公開買い付け提案を断り、【コーエー(9654)】と経営統合に関する委員会を設立したことに関する質問への回答をしたことをその内容と共に発表した。それによると、今回テクモが経営統合先にスクエニではなくコーエーを選んだ理由は「スクエニ側の提案は時間も内容も協議の余地が無いから」であることが明らかにされた(【発表リリース、PDF】)。
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今件は【コーエーとテクモ、経営統合に向けた経営統合委員会設置を正式発表】や【スクエニがテクモに対しコーエーとの経営統合案について「株主利益の面」から問い合わせ】にもあるように、「スクエニがテクモに対して友好的公開買い付けの誘いを行ったところ、テクモがそれを断り、それと共にテクモはコーエーと経営統合のための経営統合委員会を設置。それに対しスクエニが『テクモの株主にとってその選択は正しいものか否か説明してほしい』と問いあわせた」件の回答。もっと単純にまとめると「スクエニを振ってコーエーと一緒になろうと決めたテクモに、スクエニが『どうして?』と問い合わせた」ということ。
リリースではスクエニ側の「スクエニの提案を却下したのはコーエーを選んだからか」「もしそうなら、コーエーを選んだ方がスクエニよりも『テクモ株主にとって』有利である具体的な説明をしてほしい」「そうでない場合はテクモ株主に、スクエニの提案より有利な代替案を」との照会事項に対し、テクモ側は次のように回答している。
スクウェア・エニックスからの提案は回答までの期限が1週間と限られたものであるうえ、
内容についても協議の余地が少ないものと判断いたしました。一方でコーエーからの提案については、今後時間をかけて経営統合の検討を行っていくものであり、最終的に当社の企業価値をより高める結論に至る可能性が高いと判断し、コーエーとの経営統合に向けた協議開始を決定致しました。
こちらも簡単にまとめると、「スクエニの提案は制限時間も短いしテクモ側の選択肢も少ない。一方でコーエーの提案は時間もかけられるしテクモにとって良い選択肢を選べる可能性も高い。時間と選択肢の両面で、スクエニよりコーエーの方がよいと判断した」ということに。言い換えれば、具体的な比較(例えば買い取り価格の違いや、経営統合後のテクモブランド・開発陣の扱い)をされることすらなく、テクモ側の経営陣の判断の余地がどれだけあるかという点のみで、スクエニは振られ、コーエーがテクモのハートを射止めたとでも表現できようか。
テクモへの次なるアプローチではなく
スクエニ株主への説明をするための
事後処理的なもの
スクエニではすでに1株920円という条件における友好的公開買い付けの提案を撤回する発表を行っている。スクエニ経営陣にはそれなりにテクモと手を結びたいという意図は残っているが、敵対的買収をしてまで行う価値があると判断しているかどうかまでは微妙なところ。
しかもテクモの株主構成比率を見る限り、創業者一族(の保有会社)が持つ株式数が多いため、敵対的買収の成功率はきわめて低い。スクエニ側がそのようなリスクを犯してまでテクモを買収するとは考えにくく、今件についてはおとなしく手を引かざるを得ないものと思われる。
今回のスクエニ側の照会は、テクモ買収への次なるステップというよりは、スクエニ自身の株主に対する説明を行うための事後処理的な行動と見て良いだろう。もっとも1~2か月後にすう勢が決まるという、テクモとコーエーの経営統合へ向けた動き次第では、また新たな動きが見られるかもしれない。
(最終更新:2013/08/03)
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