『らき☆すた』は元々角川書店のコンプティーク誌など各誌で現在も連載中の四コマ漫画。多少実名とは変えているが、埼玉県の春日部共栄高校(作者の美水かがみ氏の出身校でもある)をモデルにした高校に通う4人の女子高生を主人公にしたほのぼの・「あるある」系学園ドラマ風のストーリーが展開される。当初はコンプティークのみの掲載だったが次第に掲載紙も多誌に渡るようになり、ドラマCDやニンテンドーDS用のゲームが相次いで発売。さらに2007年4月から9月にかけてテレビアニメ化され、プレイステーション2用のソフトも発売された(『らき☆すた 陵桜学園 桜藤祭』)。また、漫画版の『最新刊(第六巻)』も近日発売予定。

主人公の柊かがみ・つかさ姉妹が「埼玉県鷲宮町に位置する鷲宮神社(がモデルとされる神社)の神主が父親」という設定だったことなどから、埼玉県鷲宮町の鷲宮商工会議所では積極的に商品展開を模索し、版元の角川側の協力を得て「町おこし」に積極活用。「桐材による絵馬ストラップ」の販売を実施。これが大ヒットしたのをきっかけに鷲宮町や、同じく主人公の泉こなたが住む幸手市などで、同アニメ・漫画とのタイアップによる「町興し」が相次いで行なわれるようになった。アニメ放送が終了した後も積極的にキャラクタ達を活用し、それが効果的に作用していることも合わせ、「町おこし」の成功事例としても注目を集めつつある。

今回「らき☆すた神輿」が展開されたのは、起源を寛政年間(1789～1801年)とし、古くからの歴史を持ち、一度は途絶えたが1983年に復活してからは毎年この時期に開催されている【土師祭】において。通常は鷲宮神社に奉納されている千貫神輿などを若者が担ぎ上げ、鷲宮太鼓、こども神輿、山車などと共に街中を練り歩く。今回はこれに「らき☆すた神輿」が追加された。「らき☆すた神輿」は全長180センチ・幅160センチ・重さ約130キログラムと、千貫神輿の3.5トンと比べれば非常に小ぶりで、素人でも気軽に担げる仕様で作られた。

8月に土師祭の公式サイト上でこの「らき☆すた神輿」の【担ぎ手を募集】したところ、わずか3日間で定員の100人をオーバーする115人が集まるほどの人気ぶりで、その時点で応募は打ち切られた。応募者たちによって「らき☆すた神輿」が担がれ、鷲宮神社周辺と商店街の合わせて約1.6キロの工程を練り歩いたとのこと。アニメ放送が終了してからすでに一年。漫画版はまだ続いているとはいえ、ファンの熱気はまだまだ冷めていないどころかますますヒートアップしているようだ。

個人的には朝のNHKニュースに「伝統の祭りに”アニメおこし”」のタイトルと共に「らき☆すた神輿」が担がれている様子が登場した瞬間、飲んでいたお茶を吹いてしまった(笑)ほど驚かされた。放送局の事情もあり「ずっと『アニメおこし』で通すかな」と思っていたがニュース半ばでいよいよ「らき☆すた」の固有名詞が出るにいたり、色々な意味で感慨深い心境になったものだ。そのニュースでは最後に土師祭の成田靖実行委員長が「大変な町おこしになったんじゃないか、大成功じゃないかと自負しております」とにこやかにコメントしていたが、その言葉にうそいつわりは無いと断言できよう。願わくば「らき☆すた」が一過性のものではなく、末永く鷲宮町に愛され、共存して欲しいものだ。

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(最終更新:2013/09/06)