野村HD、リーマン・ブラザーズのアジア部門買収で基本合意

2008年09月24日 06:30

提携イメージ【野村ホールディングス(8604)】は9月22日深夜、先日経営破たんをしたアメリカの証券銀行リーマン・ブラザーズの、日本やオーストラリアを含むアジア・パシフィック(太平洋)地域部門の3000人を超える雇用を継承することについて、基本合意に達したと発表した。これは事実上の買収を意味する。また、本案が成立するためにはいくつかの条件が満たされる必要があるとも言及されている(【発表リリース】)。

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リリースによれば今回の「買収」においてはリーマン・ブラザーズのアジア部門(日本、インド、韓国、台湾、シンガポール、香港、中国、オーストラリアなど)における株式・債券・投資銀行部門に所属する従業員の雇用だけでなく、事業インフラも引き継ぐ(=事実上の買収)。野村はリーマン・ブラザーズのこれら部門が持っている、投資銀行業務の分野におけるビジネス基盤、M&Aや取引執行サービス、デリバティブ、電子取引、プライム・ブローカレッジなどの業務を引き継ぐことで、アジア部門のビジネス強化を推し進めることになる。ブランド「リーマン」については今後の協議の対象となる。

ただし今回リーマン・ブラザーズが破綻する原因となった、トレーディングに関する資産と負債は買収しない。あくまでも野村「證券」を運営していくのに必要な人材をはじめとした経営資源を買い取る寸法だ。

野村が「安い買い物をした」のか
「貧乏くじをひかされた」のかは
今後の野村側のやる気と戦略次第

最終的な買収金額は現時点では明らかにされていないが、資産換算で2億2500万ドル、それに加えて人材流出を防ぐための人件費の上乗せが加わり、総計で日本円で500億円前後に及ぶ可能性がある(【ロイター伝】)。また、リリース内の「いくつかの条件」が具体的には何を指すのかは現時点では明らかにされていない(買収金額そのものもそのうちの一つだろう)。今後細部の調整とその内容が明らかにされるにつれ、野村がどのような「お買い物」をしたのかがはっきりと分かるに違いない。

ほぼ同時に、【三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)】も同じアメリカの証券銀行モルガン・スタンレーへの出資を表明している(【三菱UHJFG、モルガン・スタンレーの普通株式を最大20%取得へ】)。「ここが買い時」とばかりに日本側が手を差し出したのか、「どうにかして欲しい」とばかりにアメリカ側から助けを求められて日本側が仕方なく手を差し出したのかは当事者にかあずかり知らぬことではあるが、手を結んだことに違いはない。通常スタイルの銀行に姿かたちを変えつつあるアメリカの大手証券銀行との提携で、日本の大手銀行・証券会社がどのような国際戦略を構築していくのかも含め、今後の動向が気になるところだ。

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