企業の新型インフルエンザ対策、9割が必要性認識・対策済みは1割強
2008年09月23日 12:00
東京商工会議所は9月19日、新型インフルエンザに関する企業の取組状況に関するアンケート調査結果を発表した。それによると多くの企業が新型インフルエンザ流行時の影響を懸念し、対策の必要性を感じているものの、具体的にすでに手を打った企業は少数に過ぎないことが明らかになった(発表リリース)。
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今調査結果は9月1日に実施され、379社中157社から回答を得た上での統計データ。「新型インフルエンザ対策セミナー」会場でのアンケートであるため、出席した企業関係者は企業全般の中でも比較的新型インフルエンザに関する認識度・理解度が高いことを前提にデータを見る必要がある。
新型インフルエンザ流行時にどのような影響が生じうるか、現状分かっている範囲で想定してもらったところ、「従業員の感染で社内的に被害が生じる」との意見がもっとも多かった。
新型インフルエンザが流行した場合、貴社の事業活動にどのような影響が出ると思いますか
通常のインフルエンザやはしかとはワケが違うため、想定がつきにくいというのが実情だろうが、まずは自社内、そして顧客、さらには取引先の身動きが取れなくなり、結果として企業そのものの存続が危ぶまれてしまうという考え方でほぼ一致しているようだ。
新型インフルエンザそのものの流行は有史以来発生したことがなく、記録も資料もない。どのような事態が起きうるか、推定するしかないため、どこか他人事のような雰囲気を持つ人もいる。しかし昨今では啓蒙活動が進んでいるため(そして何より今回の調査母体は「対策セミナーの参加者」であるため)多くの人が必要性を感じていることが分かる。
企業独自の対策必要性
「新型インフルエンザ対策セミナー」に参加する時点で多かれ少なかれ対策の必要性を考えているのだから、その上で「対策が必要か否か」と尋ねれば多くの人が「そうだ」と回答するのは当然のこと。むしろこのような場でも「必要ない」と答える人がいること自体が驚き。
しかしその一方、「現在」具体的に何か手を打っているか否かの問いには、すでに実行している企業はわずか1割強に過ぎず、これから考えるとした企業が7割強に達していた。必要性は理解しているが、具体的に何をすればいいのか分からない、あるいはなかなか踏ん切りがつかないというのが本音だろう。
現在貴社では、新型インフルエンザの流行に備え、何か具体的な対策を立てていますか
詳細は略するが、すでに対策を打っている企業の具体的な「手立て」は、医薬品や感染予防資材の備蓄がもっとも多く、事業継続計画や対応マニュアルの作成、もしものための指揮系統の統括など組織継続のための事前ルール作成が続いていた。
多くの企業が必要性を感じていながらそれを実行に移せないのは、何をすれば良いのか分からないことに加え、金銭的な負担も大きなハードルになっているものと思われる。こちらも調査結果のデータに記載されているが、専門家による講演や対策マニュアルによる具体的な「ノウハウ」の企業への提供、資金的なサポート(備蓄関連素材の購入や研修への参加には優遇課税や補助金を施すなど)が行政側に求められよう。
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