平均所得額は566.8万円、でも全体の6割以上が平均所得以下!?

2008年09月11日 08:00

時節イメージ厚生労働省は9月9日、2007年における国民生活基礎調査の概況を発表した。それによると、2006年における全世帯の1世帯当たりの平均所得金額は566万8000円であるが、中央値は451万円とそれより低く、平均所得金額以下の人数は全体の61.2%を占めていることが明らかになった。比較的少数の高額所得者が、全体の所得水準を押し上げ、多人数の生活は平均額よりも少ない状態で行われていることがわかる(発表ページ)。

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今調査は国民生活の基礎的事項を調査し、校正労働行政に役立てる資料を得ることを目的としたもので、基本的に毎年行われている。調査対象は無作為抽出された全国の世帯で、有効回答数は世帯票・健康票が22万9821世帯、所得票・貯蓄票が2万3513世帯、介護票が5495人分。調査票の配布・受け取りや面接方式によって行われている。また「中央値」とは回答を順番に横一列に並べ、中央に位置する値。例えば1000人が回答した場合には1000人を所得順に並べ、500人目の人の所得が中央値となる。

2007年調査・2006年分の所得金額階級別世帯数の相対度数分布は次の通り。

所得金額階級別世帯数の相対度数分布
所得金額階級別世帯数の相対度数分布

全体では先に【10年間で90万円減・減りつつある平均所得】で記したように、566万8000円が平均所得ということになっている。しかしこれは調査母体全員の回答所得を足して単純に人数で割って算出したものであり、所得のばらつきなどは配慮されていない。一方、「中央値」、つまり所得順に並べて人数的にちょうど真ん中にいる人の所得は451万円となり、平均値より116万円ほど低い値を示している。

これはすなわち冒頭でも触れたように、少数の高額所得者が所得全体の平均を押し上げていて、実際の多数の人たちは「平均値」より低い所得で生活していることを意味する。実際、平均所得額以下の人の割合は61.2%と約6割をしめている。

単年度だけでは「所得格差社会云々」と断じることは難しい。そこで今回発表分のも含め、5年ほどさかのぼってみることにする。

・2006年分……平均566.8万円、中央値451万円、平均所得額以下61.2%
・2005年分……平均563.8万円、中央値458万円、平均所得額以下60.7%
・2004年分……平均580.4万円、中央値462万円、平均所得額以下60.5%
・2003年分……平均579.7万円、中央値476万円、平均所得額以下59.7%
・2002年分……平均589.3万円、中央値476万円、平均所得額以下60.4%


平均所得イメージ平均所得と共に中央値が下がるのは当然のこと。しかし「平均所得額以下」の人の割合が、(2002年分から2003年分で多少戻したものの)全般的には増加する傾向にあるのが気になるところ。この値が増えれば増えるほど、「平均値」と「中央値」の乖離(かけ離れること)が見られ、所得の格差が広がっていることを意味するからだ。

所得格差や中流意識の減退(【中流意識の減退か・「生活が苦しい」全体の6割に迫る勢い】)が論議される中、今後どのようにデータが推移していくのか。来年以降の変化が気になるところだ。


(最終更新:2013/08/03)

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