使った本数2万5000本! 世界最強のロケット花火大会

2008年09月14日 12:00

ロケット花火大会イメージ【DesignWorks】経由【BBC NEWS】が伝えるところによると、ギリシアに属する小さな島キオス(Chios)の町Vrodandosでは毎年復活祭の日曜日(今年は4月27日)に、島を挙げての大ロケット花火大会が開催される。小さな島に設けられている2つの教会の教区の間で、激しいロケット花火の打ち合いが行われるというのだ。その数、2万5000本。子どものいたずらどころの話ではない、大まじめなロケット花火戦争ともいえる。

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現地の状況を伝える動画。伝統行事とはいえ……

この「ロケット花火大会」は古くから島を二分していた、キリスト教の教区Saint MarkとPanagia Erithianiの間で行われる。Vrodandosに位置する両教区の教会に向けて反対勢力がロケット花火を撃ち放ち、相手の教会の鐘に命中させて鳴らせれば勝利。元々は対海賊向けの艦艇に搭載されていた大砲を使っていた(!)が、19世紀にこの地を占領したトルコ軍が「反体制運動に使われるかも」と大砲を没収。そこで住民たちは1889年以降、代わりに「安全な」ロケット花火を使うようになったのとこと。

専用の発射台上に準備される無数のロケット花火
専用の発射台上に準備される無数のロケット花火

住民たちはこの「ロケット花火大会」のため、何か月も前からロケット花火の作成に携わり、ライバルへの砲撃を心待ちにする。ロケット花火そのものを作成する直接のスタッフは150人ほど。射程距離が長く、高速で移動し、目的地まで飛ぶロケットを作るため、スタッフは皆真剣になって作業を行う。ただし作業は廃屋で、しかもドアを開けたままで行われる。なぜかといえば、万一の事故が起きたときにすぐにスタッフが逃げ出せるように、だ。

一斉に放たれるロケット群。発射地点では歓声が上がる。
一斉に放たれるロケット群。発射地点では歓声が上がる。

大会が近づくと、「会場」周辺の住民は攻撃対象となる教会の窓や扉に板を貼り付け、観光客が立ち入らないように鉄条網を張り巡らせる。そして当日ともなれば、上の写真のように「大ロケット花火大会」が開催される。あまりにもロケット自身や周囲の人たちの歓声が大きく、従来の目標であるはずの「敵対する教会の鐘を鳴らす」という勝利条件となる鐘の音すら聴こえなくなるという。

夜間になっても大会は続く。ロケットの軌跡が幻想的……だが着弾付近の人たちにとってはたまったものではない。
夜間になっても大会は続く。ロケットの軌跡が幻想的……だが着弾付近の人たちにとってはたまったものではない。
次々と目標の教会に着弾。もうどれがどれやら。
次々と目標の教会に着弾。もうどれがどれやら。

住民たちの多くは半ば楽しみ、半ばあきらめ顔でこの「大会」をなま温かい目で見守るという。伝統行事であるから、止めてくれというわけにはいかない。しかし当日は不測の事態が起きてもすぐに対処できるよう「流れ弾」を受けうる住民たちは待機していなければならないし、実際火事やそれに伴う死者も出ているとのこと。

ある住民は語る。

「私たちはこの伝統行事の人質みたいなものよ。何があるか分からないので花火大会の時には、すぐに対処できるよう臨戦態勢をとっていなければならないの。そうでもしなければ、(ロケットのもらい火で)家を失ってしまうことだってあるのだから。
(We live as hostages to this tradition." "We can't breathe when it takes place, we have to be on standby in case a fire breaks out, because if you are not careful you can even lose your house.)」


と。

※このようなロケット花火の打ち合いは海外の伝統行事だからこそ許されたものです。日本国内ではもちろん禁止されております。良い子はもちろん悪い子も絶対に真似をしないように。

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