【更新】2008年8月度の外食産業の売上は前年同月比でプラス2.1%・天候が客足を伸ばす

2008年09月26日 06:30

外食産業イメージ日本フードサービス協会は9月25日、協会会員会社を対象とした外食産業の市場動向調査における2008年8月度の調査結果を発表した。それによると総合売り上げは前年同月比でプラス2.1%となり、二か月連続して前年同月比プラスを記録した。7月から上がり始めた気温が8月も継続し、客数の伸びが売上に大きく貢献したものと思われる([発表リリース])。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象に行われたもので、対象数は事業者数が172、店舗数は29036店舗(既存店はそれぞれ166、25404)と、先月と比べて事業者数・店舗数が大幅に減少しており、外食産業における新陳代謝・生存競争による淘汰が行われているものと思われる。

全業態すべてを合わせた8月度売り上げ状況は、前年同月比で102.1%と前年同月を2.1%上回り、先月に続きプラスを見せることになった。業態別では相変わらずファストフードが堅調で、めん類において著しいのも先月通り。めん類は店舗数も大幅に増加しており、これが売上を底上げしているものと思われる。客単価の伸び率はばらつきがあり、「その他」項目で大きく伸びているのは先月と変わらず。目新しいスタイルの店舗で客を引き寄せ、高い料理を楽しんでもらおうという意向があるのかもしれない。先月は客足がやや遠のいていた和風も今月はプラスに転じて一安心というところか。

一方ファミリーレストラン部門の伸び率は全般的に今ひとつ。中華が一番健闘している図式は先月と同じで、客数・客単価共に伸び、店舗数の減少をカバーしてなおあまりある上昇を見せている。焼き肉部門が振るわず、商品単価を工夫するなどして客単価のかさ上げをするも、それ以上に客数が減ってしまい売上高が落ちているのも先月と同じ。

客数データ、しいては売上高は天候に左右されるところが多い。8月は気温の急激な上昇で猛暑となったことから、「涼しいところで一休み」とばかりに外食チェーン店を利用する機会が多かったこと、夏休みの家族連れによる利用があり、売上に貢献したものと思われる。

全店データ(既存店、新店合わせて)
全店データ(既存店、新店合わせて)

8月データにおいても7月に続き、ここ数か月来よく見られる「新築されためん類のお店が非常によく頑張っていることが分かる」という傾向が現れ(既存店データでは前年比でプラスの値がきわめて小さい)、ファストフード部門の平均を押し上げる形が見える。ただし売上高の上昇分にほぼ肩を並べるほど店舗数が増大している傾向もあり、「過剰供給」の一歩手前の可能性も否定できない。当方の杞憂であれば良いのだが。

・天候良好で
客足増える。
・ファミレスは
相変わらず
弱含み

食品価格の高騰は世界的な傾向として表れている。今後さらに業務用の小麦が値上げされることで、関連食品のコストが上昇、外食産業には厳しい時代が続く。ガソリン価格の高騰で自動車の利用モチベーションが急激に低下している状況は一朝一夕に変わることは無く、外食産業には厳しい時代が続く。あるいは外食産業店舗単独では、集客には限界が来ているのかもしれない。

リリースでは「食料品のコスト高で外食のコストパフォーマンスが見直された」という言及もあるが、まとめ買いの効用が薄い一人暮らし家計を除けば、トレードダウンやスーパーでのまとめ買いで対応する動きがほとんど。例外となりうる一人暮らしも、外食よりはコンビニなどで惣菜を買う傾向が(それぞれのセクターの月次レポートで)見られるので、少なくともコストパフォーマンスの観点から外食に戻ってくるようには思えない。むしろ「気づき」の発想から、今後もケータイクーポンや折込チラシをはじめとした顧客の囲い込み戦略、品質の向上化によるアピールなど絶え間ない努力と創意工夫が求められよう。

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