学校登校時のフル装備、しめて11万円ナリ
2008年09月11日 08:00
人間そのものの価値は何物にも変えがたいものがあるが、一方で身に着けている「モノ」の価値の高低もリスク評価には大きな要因となる。要は「高価なものを普段持っていると、盗難にあったり脅される危険性が高くなる」ということだ。特に自分自身では身を守れない子どもには、無用なトラブルは避けさせたいもの。さらにものの分別がしっかりしていない子どもには、高価な商品は窃盗という「悪魔のささやき」に誘われる対象にもなりうる。しかし現実問題として、現在のイギリスの子どもたちが登校時に持ち込んでいる品々の合計額は、男の子で平均で600ポンド(約11万円)という高額に達しているという(【Mail Online】)。
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これはインターネット調査会社【YoungPoll】が10歳から15歳の3000人の子どもに対して行った調査から明らかになったもの。平均的な子どもが保有している(とされる)アイテム一覧は次の通り。
●男の子
・携帯電話……74ポンド
・iPodなどの音楽プレイヤー……100ポンド
・携帯ゲーム機……148ポンド
・ゲームソフト3本……75ポンド
・トレーナー……52ポンド
・時計など……50ポンド
・他の衣料品……68ポンド
・財布……20ポンド
・バッグ……20ポンド
……合計607ポンド(11万2000円)
●女の子
・携帯電話……74ポンド
・iPodなどの音楽プレイヤー……100ポンド
・トレーナー……42ポンド
・時計など……43ポンド
・他の衣料品……42ポンド
・財布……20ポンド
・小物入れ……15ポンド
・バッグ……18ポンド
……合計345ポンド(6万4000円)
携帯ゲーム機などがない分、女の子の方が安くついているが、それでも軽く5万円を超えている。ちなみに25年前の似たような統計データでは、ペンや計算機など合わせて3.1ポンド(600円程度)でしかなかったとのこと。物価上昇率などを考慮しても、ずいぶんと高額装備をするようになったものだ。
傾向としては、子どもたちは友達と同系列のアイテムの「競争」をし合い、より高価なものを買い求めたり、親に買ってもらおうとする傾向があるという。また、女の子が携帯電話に興味を持つ一方、男の子は腕時計や装飾類、携帯音楽プレイヤーに深い関心を示しているとのこと。
一方、これら高額品を学校が持ち込まれることが、子どもの間の盗難事件が増えている原因になる、と元記事では警告している。また5%の子どもが「学校に持ってきてはいけない備品」を持参して教師に見つかり、怒られた経験がある、と回答している。
イギリスの「子どもが高級品を学校に持参する」問題については【「iPodが大人気だから」と特別仕様で作られた商品が猛抗議】でも指摘されていた。つまり「学校にはiPodを持ってくることは禁止・あるいは奨励されていないのに、それを勧めるようなブレザーを創るとは何事だ」というものだ。これはそもそも論として「学校は学習するところだからiPodは必要ない」という考えのほかに、「iPodのような高額品を学校に持ち込むと、子どもたちの間で盗難事件を誘発してしまうかもしれない」という危惧があったからに他ならない。今回の調査結果を見ると、その懸念がますます高まるように見えてならない。
元記事のコメントでも「iPodや携帯ゲーム機は自宅に置かせて学校に通わせている」「子どもにそんなもの持たせて登校させるだなんて、その親は馬鹿か?」「結局親次第なんだよな」「学校の入り口で身体検査をして、これら学業に必要のないものを預かるべきだ」「これでもまだマシ。中にはラップトップパソコンを持ち込んでインターネットに接続したりメールのやり取りをしている子どももいる」などの否定的な意見が多い。他方、「子どもたちがちゃんと自分自身の手で働いて、それらの備品を手に入れたのなら問題は無いのでは?」とする意見もある。
「学校に子どもが
高価な品々を持参し
盗難事件に巻き込まれる」
問題が多発している
子どもの装備品一覧を見る限り、日本でも状況はほぼ同じであると考えられる。とすれば、イギリスで子どもを取り巻くこの問題も、日本でも生じている、ということになるのだろうか。試しに【いくつかのキーワードで検索したところ】、日本でも少なからぬ事例があり、教育関係者も頭を痛めているようだ。
さまざまな備品が高性能化して子どもでも使えるようになれば、学校に持参したくなるのも理解できなくはない。しかしそれらの品々は概して高価なもの。メリット・デメリットを考えれば、親や教師らが考えているように、特定の品以外は持ち込みを禁止した方がプラスになるのだろう。
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