平均貯蓄額は1143万円、一方で30歳未満は2割近くが「貯蓄ナシ」
2008年09月10日 19:40
厚生労働省は9月9日、2007年における国民生活基礎調査の概況を発表した。それによると、全世帯における1世帯平均貯蓄額は1143万円であることが明らかになった。世帯主の年齢層別に見ると「貯蓄がある」のは40代がもっとも多く89.1%。逆に29歳以下の階層では2割近くが「貯蓄が無い」と答えている(発表ページ)。
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今調査は国民生活の基礎的事項を調査し、厚生労働行政に役立てる資料を得ることを目的としたもので、基本的に毎年行われている。調査対象は無作為抽出された全国の世帯で、有効回答数は世帯票・健康票が22万9821世帯、所得票・貯蓄票が2万3513世帯、介護票が5495人分。調査票の配布・受け取りや面接方式によって行われている。
また、今項目では「世帯主の年齢階層別」に区分されているが、この世帯主には単身者を含む。さらに貯蓄は合計額のみの把握であり、預貯金・保険料・有価証券その他の区分による掌握はされていない。
まず年齢階層別に貯蓄のある・無しについてまとめたのが次のグラフ。
年齢構成別・貯蓄のあるなし
以後のグラフでも同様だが、年金受給者に該当する65歳以上も別個に区分されている。グラフを見ると、どの年齢層でも大体1割は「貯蓄が無い」と回答していることが分かる。民間機関で似たような調査をした時は(【貯蓄額 1000万以下過半数 貯蓄ナシは わずか2%】)わずか2%だったことを考えるとかなりの違い・多さであることがわかる。特に29歳以下の若年層は2割近くが「預貯金も保険料も有価証券も持ち合わせていない」と回答している。
また、65歳以上の1割も貯蓄がないと回答。嘱託や自営業者で収入源がある人でない限り、基本的に年金だけの収入で生活していることが想像される。
続いて各年齢層別の平均貯蓄額。
年齢層別平均貯蓄額
当然のことながら、年齢が上がるにつれて貯蓄額が増えてくる。そして定年退職を迎えて定期収入が年金だけになる70歳以上になると、貯蓄が少しずつ減る様子が分かる。ちなみに世帯主が(年齢上通常なら)定年退職を迎えている世帯における平均貯蓄額は1300万円強。
最後のグラフは、年齢階層別で貯蓄額を区分した割合。例えば29歳以下の場合33.2%の人が貯蓄はしているものの、その額は100万円未満という計算。
年齢階層別貯蓄額(貯蓄階層区分付)
これを見ると20代までは手取りも少額で蓄積している時間も少ないため、貯蓄をしている人でも大部分は少額に過ぎない。それが年齢を経るにつれて少しずつ貯蓄額が増え、総額が多い層の割合が増えてくることがわかる(各年齢層の赤丸は、その層における最多割合)。もちろん定年退職後の70歳以上になると貯蓄最多階層が減り、貯蓄が少しずつ削られていく様子も見て取れる。
今回のデータは「世帯主の年齢で区分した世帯全体」の「預貯金以外に保険料・有価証券なども含めた貯蓄」であり、「貯蓄と投資」の区分はしがたいところがある。そのようにある程度広義の「貯蓄」で問い合わせた上でも、「全体で貯蓄が無い人は12.8%」「若年層は2割近く、年金生活者でも14.5%が貯蓄なし」という現実を突き詰められた、ある意味厳しい内容といえるのかもしれない。
最近は公的年金制度への不信感の高まりからか【9割が「年金に不安」でも「個人年金に加入」は3割】にもあるように個人で貯蓄をする人の割合が増加する傾向にある。「あまり貯金をしていない」というデータが出た若年層でも【あなた、貯金してます? 20代の8割が「毎月貯金」】という調査結果にあるように、貯蓄傾向が強まりつつある。
この貯蓄傾向が継続するなら、あるいは今後、若年層における貯蓄割合も少しずつ増加していくのだろう。
(最終更新:2013/08/03)
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