[グラフ追加]10年間で90万円減・減りつつある平均所得
2008年09月11日 08:00
厚生労働省は9月9日、2007年における国民生活基礎調査の概況を発表した。それによると、2006年における全世帯の1世帯当たりの平均所得金額は566万8000円となり、前年比で+0.5%の値を示していることが明らかになった。また、過去10年間において世帯平均の所得は緩やかな下降傾向を示していることも見出された(発表ページ)。
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今調査は国民生活の基礎的事項を調査し、校正労働行政に役立てる資料を得ることを目的としたもので、基本的に毎年行われている。調査対象は無作為抽出された全国の世帯で、有効回答数は世帯票・健康票が22万9821世帯、所得票・貯蓄票が2万3513世帯、介護票が5495人分。調査票の配布・受け取りや面接方式によって行われている。
今調査は2007年に行われたもので、データ化されている所得は(2007年に行われたから、1年分のデータが丸ごと残っているのは2006年分以降になるので)1997年から2006年分のものとなる。そのデータについて、全世帯・高齢者世帯(65歳以上)・児童のいる世帯それぞれの推移をグラフ化したのが次の図。
1世帯当たり平均所得金額の年次推移
直近の一、二年では横ばい、あるいはやや上昇の面もあるが、この十年の間では緩やかな下降減少が見られることが分かる。特に世帯全体の平均値における減少は著しく、十年間で額にして90万円強の低下を見せている。
消費者の所得低下は【景気回復はサラリーマンからは遠く……給与は9年連続減少、格差も拡大方向に】や【大企業の業績アップ分は労働者には回らず、企業自身の拡大や役員報酬に~景気拡大の内訳とは】などでも触れているが、この図表でそれが改めて確認された形となる。
中には「手取りが減ったのは物価水準そのものが低下したからでは?」という反論もあるだろう。そこで消費者物価指数と連動させてグラフを再構築したのが次の図。
1世帯あたり平均所得金額年次推移と消費者物価指数(2005年を100)
[追加]1世帯あたり平均所得金額年次推移(2005年を100、消費者物価指数を考慮)
現在発表されている消費者物価指数は2005年を100として算出されているので、他の所得値もそれぞれ2005年の値を100にした上で再計算。そしてグラフとして重ね合わせて見ると、やはり物価の下落率以上のスピードで所得が減っている、=生活が厳しくなりつつある様子が分かる。
所得額の大小が生活の豊かさすべてを表す指標ではないが、重要な目安であることも違いはない。先の「大企業の業績アップ分は労働者には回らず、企業自身の拡大や役員報酬に~景気拡大の内訳とは」でも指摘しているように、1998年以降における景気循環ではそれ以前と反し、労働者への報酬・分配率が減少しているのがもっとも大きな要因だろう。
(最終更新:2013/08/03)
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