日清紡が太陽電池と燃料電池に事業シフト、繊維部門は縮小
2008年08月31日 12:00
紡績大手の【日清紡(3105)】は8月28日、自社事業における太陽電池製造設備・燃料電池部門の大幅拡充と、繊維部門の事業再編・国内生産縮小を発表した。急増している受注や現状の市場環境に対応するものであり、昨今において数少ない成長分野と位置づけられている太陽電池・燃料電池の両分野への展開拡大が予想されるため、株価も大いに反応している(発表リリース)。
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日清紡は元々その社名からも分かるように、繊維事業を元にしているが、現在ではブレーキ製品や化学製品、紙製品など多角方面に事業を展開し、収益も上げている。また昨今ではバイオテクノロジーや太陽電池(の製造設備)・燃料電池、コンデンサーなど次世代分野の事業展開にも積極的な姿勢を見せている。
今回発表されたのは、太陽電池製造設備・燃料電池部門の拡充と、繊維部門の再統合。
■太陽電池製造設備部門
・事業所面積を18000坪から38000坪に拡大し専用工場を建設。年間500億円の受注体制を構築。
・2009年3月完成予定の工場に加え、2010年度・2011年度に同規模の工場を新設。
・建設中の工場とあわせて65億円を投資。
■燃料電池セパレータ※部門
・2009年度からか家庭用燃料電池が販売開始。受注増にそなえるため、新工場を建設。2010年3月完成予定。
・新工場は年間2万台分のセパレータ生産体制を構築。さらに最大年30万台もの生産が可能な工場にまで生産能力を増強できるよう、柔軟性に富んだ工場とする。
・35億円を投資。
※セパレータ……電池の中でプラスとマイナスを隔離して、電解液を保持する重要な部品
■繊維部門
・美合事業所は事業再編。2010年度中に生産量を4割に削減。減った分は提携先や海外加工にシフト。空いた用地を太陽電池部門の工場拡張に利用。
・島田事業所は汎用商品から退き、開発や高価値商品に特化。設備を一部廃棄。
・10億円を投資。
資源高で景気が悪化する一方、地球環境保全志向ともあわせ、太陽電池・燃料電池などの電池部門は数少ない急成長部門として注目を集めている。急増するニーズに対応できるだけの技術やノウハウを持ち、生産力向上の機会があるのなら、それに対処するのは至極当然の話といえる。
なお28日の今発表を受け、日清紡の株価は急騰。29日には前日比+115円(+10.47%)と大幅に上昇している。
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