二酸化炭素からプラスチックス!? 三井化学が現代の「錬金術」実験プラント建設へ
2008年08月26日 06:30
【三井化学(4183)】は8月25日、二酸化炭素を化学的に固形化してメタノールを合成し、ビニール袋などに使われるポリエチレンやプラスチックスを合成・製造する実証実験用設備の建設に10月から着手することを発表した。「二酸化炭素の削減」と「高騰する原油の代替品の生成」という、一石二鳥的な技術になりうるものとして注目を集めている(【発表リリース】)。
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二酸化炭素の化学的固形化の仕組み
今回発表された実験プラントは、同社がかねてから進めていた「二酸化炭素からのメタノール合成技術」の開発技術を大規模に実証実験するための設備。具体的には工場から排出される二酸化炭素と、水と光触媒を使って得られる水素を化学的に合成してメタノールを作り、そのメタノールからオレフィン類・アロマ類などの石油関連製品(ポリエチレンやプラスチックス)を創り出そうというもの。
今回発表された技術、及びそれを用いた実験プラントでは、地球温暖化の一因とされ削減が求められている二酸化炭素を原材料として用い、高騰で代替品の開発が急務とされている原油の代替原料となりうるメタノールを精製できる。「エコロジー」と「原油高騰対策」の両方が一度に行える仕組みとして注目を集めている。
この実験プラントは大阪の高石市にある三井化学大阪工場で建設され、投資額は約15億円。10月には着工し来年2月には完成、2010年3月をめどに実用化の技術確立を目指すという。
図表にもあるように、すでに二酸化炭素と水素からメタノールを作る高活性触媒は開発済みで、現在その改良を進めている最中とのこと。水から光触媒の仕組みを用いて水素を生成する技術は開発中という話だが、これも高いハードルのものではないだろう。
化学式的には道理がいくが、直感で「水と二酸化炭素からプラスチックスを作る」となると、まるで錬金術のような雰囲気さえ感じられてしまう。この技術開発がスムースにことが進み、採算の取れるレベルで大規模に展開できるようになれば、環境問題と資源不足問題の両方をまとめて解決できるようになるかもしれない、そんな夢さえ見させてくれる、今後の展開に大いに期待したい話といえよう。
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