牛乳を飲まない人が増えている 理由は価格か肥満対策?
2008年08月24日 12:00
インターネット調査会社のマイボイスコムが8月22日までに発表した調査結果によると、ここ数年の間に牛乳の飲まれる頻度、好感度共に減少していることが明らかになった。牛乳そのものが好きな人、週に一回以上飲む人がまだ多数を占めているものの、減少傾向が明らかな形で数字として現れている。牛乳購入時の重視点と比較して見ると、その原因は価格や味・おいしさ、品質などにあるのではないかと思われる(【発表リリース】)。
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今調査は8月1日から5日までの間にインターネット経由で行われたもの。有効回答数は1万5013人、男女比は46対54、年齢階層は30代がもっとも多く37%、ついで40代29%、50代の17%など。
単刀直入に、牛乳が好きか嫌いか、そして牛乳をどのくらいの頻度で飲むかについて尋ねたところ、それぞれ調査を重ねるごとに「牛乳への好印象派」が減少傾向にあることが明らかにされた。
牛乳が好きか嫌いか
牛乳の飲む頻度
いまだに「牛乳が好き」派は76.4%、一週間に一度以上牛乳を飲む人は67.2%とそれぞれ多数を占めている。しかし好感を持つ人の割合は前回から1.7ポイント減少し、牛乳を飲む頻度も確実に減少しているのが分かる。特に飲む頻度で「毎日飲む」人の割合はこの5年で8.8ポイント減少している。
【作りすぎで「捨てた牛乳100万本」、今後その10倍の1000万本になる可能性も】でも触れているように、牛乳はここ数年来「牛乳は栄養豊富、だから太る」というイメージが定着し、健康飲料の消費量が増えるのと相反する形で消費量を減らしている。さらに牛乳購入者の「購入の際の重用視ポイント」を見ると、「価格」が最上位についていることから、特に昨今では価格の上昇も「牛乳の飲む頻度」が減った原因ではないかと思われる。
牛乳購入時の重視点(複数回答、上位のみ抜粋)
直近一年間の東京区内の牛乳価格の推移(総務省統計局データから)
他調査のデータだが、実際に上がった価格の額・割合だけでなく、パンやめん類、バターや小麦粉などと並び「値が上がった」と実感した商品の上位にも牛乳が入っていることから(【「値段上がった!」実感できる食品は主食の「●●」】)、価格の上昇が牛乳の立ち位置に与えている影響は小さくないようだ。
牛乳が身体に良い飲料であるか否かはいまだに賛否両論に分かれており、物議をかもしていることはよく耳にする。栄養の面だけに焦点を絞っても「カルシウムをはじめとした栄養豊富だから積極的に飲もう」という話がある一方で、先に挙げたように「栄養豊富だからダイエットにはむかない」などとして敬遠される動きも多い。特に昨今の健康志向でお茶などのノンカロリー系飲料が好まれるようになったことが、牛乳にはマイナスに働いている。
さらに去年の夏以降の物価上昇に伴う牛乳価格の高騰も、飲まれる量の減少に拍車をかけている。上記グラフに見る限りでは実売価格の値上げは1割程度でしかないが、身近な商品なだけに「価格が上がった」という印象は強く、食費切り詰めの中では購入量を減らされるターゲットにされやすい。
百歩譲って「高いから飲まない」「高いから飲む頻度を減らす」ならまだ救いはある。価格が下がれば愛飲者は戻ってくるし、「牛乳そのもの」が嫌いになったわけではない。しかし購入時の重視ポイントで「価格」同様に上位に挙げられている「味・おいしさ」「品質」「安全性」などが、価格上昇と共に失われていたとしたら、取り返しのつかないこと(牛乳愛飲者の信頼を損なう)ことになりかねない。
牛乳の供給サイドはくれぐれも、道を踏み外すことのないように努め、「相談できる」相手としての立場を維持してほしいものだ。
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