アルツハイマー病の記憶障害改善の可能性・脳内たんぱく質の異常が原因

2008年08月22日 06:30

医療イメージ理化学研究所は8月21日、アルツハイマー病によって進行する認知・記憶障害の仕組みを明らかにすると共に、マウスを使った動物実験で状況の改善に成功したと発表した。アルツハイマー病における記憶障害を改善する、治療法の開発につながるものとして注目を集めている(【発表ページ】)。

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アルツハイマー病は老化に伴ってたんぱく質の変化(βアミロイドの形成・蓄積、タウタンパク質の蓄積)が生じ、脳が機能不全を引き起こすことで発症するものとされている。症状としては記銘力の低下、記憶の低下、被害妄想、徘徊行為などが挙げられる。患者数は全世界で1800万人ともいわれている(WHO調べ)。

研究チームでは発現理由の一つである「βアミロイド」について、このたんぱく質をたまりやすく遺伝子操作したマウスを作り、その脳内を詳しく調べた。するとそのマウスでは記憶をつかさどる脳内の「海馬」という部分で、刺激の伝達を抑制する神経伝達物質「GABA」の動きが通常のマウスと比べて活発化していることが確認された。

そこでそのマウスにGABAを阻害する薬品(ベンチレンテトラゾールなど)を投入したところ、代わりに塩水を投入したマウスと比べ、記憶障害に改善が見られることが明らかになった。

迷路でのマウスのトレーニングの学習(記憶)経過
迷路でのマウスのトレーニングの学習(記憶)経過

これらの研究の結果、GABAによる刺激抑制の動きを改善することが、アルツハイマー症における記憶力の低下を改善する「可能性」が示されたことになる。

ただし記憶のトラブルは脳の複雑な仕組みの上での問題で、多種多様な要因が元となっている。また個々の患者による差異もさることながら、個別患者の病気の進行過程でも変化する可能性すらある。研究グループでは今回可能性が示唆された「GABA抑制」だけでなく、ES細胞を基にした細胞補てん法や、たんぱく質の異常を防ぐ方法などとあわせ、多方面から各パターンにおいて検討を続ける必要があるとしている。

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