今調査は7月1日から4日の間、インターネット経由で行われ、有効回答数は1000人。男女比は1対1で年齢階層比は20代・30代・40代・50代で均等割り当て。

調査ではエコロジー意識の高まりを背景に、エコ関係の質問を中心に「エコ」と「節約」の関連性についても尋ねている。今回はその中でも特に「節約しているもの」にスポットライトをあててみる。「エコ意識の高まり」と共に「景気後退・物価高」という要素からも、「節約」への意識が市民生活に深く浸透しているものと思われるからだ。

「支出を抑えている」「購入頻度・利用頻度を減らしている」「ランク・単価を下げている」などさまざまな手法を使いこなし、去年と比べて節約しているものについて尋ねたところ、「食」の部門では「外食」が一番回答率が高かった。

節約しているもの(食部門)

実に半数近くの人が「外食の出費をおさえている」と返答している。ついで「お菓子類」「飲料水」と、主食ではなく嗜好(ぜいたく)色の強いものがひかえられていることが分かる。特に「外食」は食事そのものだけでなく場所によっては他項目の「ガソリン代」などの節約にも結びつくため、多くの人が切り詰め対象としたのだろう。外食産業の来客数・売上が減少傾向にあるのも、当然に見えてくる。

「家電・日用品・衣」部門でも、やはり嗜好品の類が節約の対象となっている。

節約しているもの(家電・日用品・衣部門)

「衣類・ファッション」など着飾り系がもっとも高く4割近く。ついで書籍や雑誌、CDなどのメディア系ぜいたく品が続いている。前者はデパートや衣料品専門店の不振、後者は出版業界(特に雑誌方面)の低迷をそのまま表しているようですらある。どうしても必要なものを優先し、多少は自分の趣味趣向を切り詰めてでも、何とか耐え忍ぼうという気概が見え隠れしている。

「サービス・ライフライン」部門では、直接価格高騰に結びついている「ガソリン代」が4割近くともっとも多い。

節約しているもの(サービス・ライフライン)

「ガソリン代」「旅行・レジャー」「交際費」などの「ぜいたく品」はもちろんであるが、生活に必要不可欠なはずの「電気・ガス・水道・灯油」にまで多くの人が節約をしているのが分かる。この部門では単にぜいたく品の切り詰めだけでは不安要素が大きいというところだろう。

一方で「習い事」「教育費」など、自分や子どもへの「投資」は厳しい環境下でも節約する人は少ない。これは「他のものを削っても、自分や子どもは『磨いていかねばならない』」という教育への期待からくるもの。決して安くない「教育費」は削らないという意向は【あなた、貯金してます? 20代の8割が「毎月貯金」】や【子育て夫婦が物価高で削るもの、最初に外食、次に趣味・教育費は……】でも同じような結果が出ており、「不況・節約時代のエアスポット」といえるのかもしれない。

今回の調査結果の中で「去年と比べて節約している項目」の上位を挙げ直して見ると「外食」「嗜好飲食品」「衣料・ファッション」「雑誌・CD」「旅行」「ガソリン代」「交際費」など、「ガソリン」を除いたほぼすべてが苦境におちいっている業種と重なることが分かる。

「これらの業種の利用客減少・売上低下」と「不景気」のどちらが先の要因となったのかは今資料からだけでは分からない。どちらかがきっかけだったにしても、現状では両方が相互作用的に働いていることは間違いなかろう(不景気になり消費者側が無駄な出費を抑えるべく来客数が減り、さらにその業界の業績不振に拍車がかかり、不景気が加速する)。

逆に、出費を抑える傾向の少ない業種、例えば日常の生活品や教育、習い事などは、この不況下でも手堅いビジネスが続けられることだろう。特に教育関係は、少々前までは少子化問題などから「お先真っ暗」とまで言われていただけに、大きな穴場的業態となる可能性を秘めているといえよう。また「習い事や趣味」も、今後年金生活者が増えて「第二の人生」を歩む際には欠かせない項目といえ、こちらも注目される業態となるかもしれない。

(最終更新:2013/08/03)