「書店の減り具合」と「書店の売り場面積動向」のグラフ化を仕切り直してみる
2008年08月19日 06:30
7月24日に公正取引委員会で公開された著作物再販協議会議事録など(【報道発表資料ページ】)の資料からは、音楽・出版業界などの著作権に関係する各種業界の最新情報が掲載されていた。その中に、【日本著者販促センター】で提示されていたデータと同系列のもので、さらに詳細で直近のデータのものもいくつか見つけることができた。そこで先に記事にした【書店の減り具合をグラフ化してみる】と【書店の売り場面積動向をグラフ化してみる】のグラフを一部仕切り直してみることにした。
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まずは「書店数推移」。公取委のデータには書店数以外にその年毎の売り場総面積も記載されていたので、グラフにかぶせてみる。
書店数と売り場総面積推移
見事に書店数と売り場総面積が相反する増減関係にあることが分かる。先の書店関連の記事でコメントした、あるいは推測した「書店は大型化・集約化しているのではないか」という論が証明できる一つのデータでもある。
次に「新規開店・閉店書店数と書店の減少数」。先の記事では2003年から2007年までのものしかなかったが、公取委データでは2001年~2008年までのものが用意してあった。
新規店・閉店書店数と書店の減少数
傾向としてはさほど変わらず、2002年の新規店数がやや多く、その反動で2003年の閉店数が増えたのかな、と思わせる程度。ただし全般的な傾向(新規店の数はほぼ一定、新規店数より数倍の書店が閉店している)は変わりなし。
さて、先の記事を掲載した後に「閉店書店は小さい規模なのですか?」「やはり新規店の本屋は大きいところが多いのでしょうか」という質問をいただいた。その疑問に答える形になるのが、最後に掲載する、「仕切り直し」ではなく「追加」となる図版。
新規店と閉店それぞれの総面積及び1店舗あたりの平均面積(坪)
新規書店……150→250坪
公取委のデータでは閉店・新規店の店舗数だけでなく、それぞれの場合の店舗総面積も記載されていた。そこで閉店・新規開店それぞれについて、増減面積を店舗数で割り、一店舗あたりの平均面積を出したのが上記グラフ。
明らかに、
・閉店書店は50坪前後の小さめな書店
・新規書店は150坪以上の大型店。しかも年々大規模化
の傾向が見て取れる。今データには「日本著者販促センター」には含まれていた「既存店の増設分」は反映されていないが、「増設」したということはこれまでより面積が大きくなるということだから、「書店の大型化」という傾向に変わりはない。
今回仕切り直して作成した、あるいは新規に作ったグラフからは「書店のリストラクチャリング」すなわち「集約化・大型化」が進んでいるようすがつかみ取れる。街の小さな10メートル四方サイズの本屋さんが次々に廃業し、その一方で大型書店が次々と開店。しかも年々その規模は拡大する傾向にある。
「地元密着型・個人経営スタイルの小さな本屋」さんの立場には、駅の売店やコンビニエンスストア、そしてインターネット書店が取って代わるものと思われる(あるいは「雑誌は読まない」という選択肢も選ばれうる)。寂しい感はぬぐえないが、これもまた現実として直視しなければならないのだろう。
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