書店の売り場面積動向をグラフ化してみる

2008年08月18日 08:00

書店イメージ先に【書店の減り具合をグラフ化してみる】で「書店の増減動向」に絡み「日本著者販促センターには別所に書店の売り場面積分布もあるので……」という話について触れた。ここでは早速その「書店の売り場面積分布」をグラフ化してみることにした。特定期間の分布だけでなく、一定期間内の増築・新築店舗の動向も把握できたので、合わせて掲載。面積推移がより把握しやすくなるはずだ。元データは【日本著者販促センター】などから。

スポンサードリンク

まずは2007年5月時点の書店売り場面積別の書店数。

書店売り場面積別の書店数
書店売り場面積別の書店数

1~39坪(3.3~129平方メートル)という小型書店と、100~299坪(330~987平方メートル)という大型書店が「数の上では」二分していることが分かる。129平方メートルといえば縦横11メートルちょっと。地方の「本屋さん」規模だろう。一方299坪は一辺30メートル強の正方形くらいになる。ちなみに超大型書店はいずれも500坪以上。例えばジュンク堂書店は池袋本店が2000坪、新宿店が1650坪。紀伊國屋書店札幌店(本店)が1300坪といった具合だ。

このグラフだけでは「ある特定時点」だけの動向しか分からない。そこでデータは少々古くなるが、2002年~2006年における、新規開店店舗・増築をした店舗数とその面積、さらには両方を合わせたものをグラフ化したのが次の図。

新規書店の面積増床推移
新規書店の面積増床推移
増築書店の面積の増床推移
増築書店の面積の増床推移
新規と増築した書店の面積増床推移
新規と増築した書店の面積増床推移

新規開店店舗は先の「書店の減り具合をグラフ化してみる」でも明らかにされているように、その数において毎年さほどの変化はない。また増築した店舗数もダイナミックな変化は見られない。一方、新築・増築両方の事例において、坪数が漸増しているのが分かるはず。店舗数に変化がなく、合計坪数が増えているので、平均坪数も増えるといった具合だ。

「新規書店の面積が増えている」「増築書店の面積も増加している」。この2点は言い換えれば書店の大型化が進んでいることを意味する。

「書店業界におけるリストラクチャリング・経営の合理化が進んでいると見るべきか、それとも出版業界全体の衰退を加速させる動きなのか、現状では判断がつきかねよう」とは先の記事での言。出版業界全体の縮小傾向(売上や販売拠点数、読者数の減少)は否定できないが、書店の規模という観点から見れば、規模の二極化(+状況に即した「進化」)が進行しているように見える。

特に大型店舗化することで「品揃えがネットショップよりも不十分」という印象を薄めるのもあるだろう。そして「本のデパート」「書籍の遊園地」的な雰囲気を作り出すことで、「その場に居るだけで楽しい」書店の魅力を演出しようとしているのなら、それこそが「実店舗書店ならでは、実店舗にしか出来ない特徴」であり、書店が生き残る道の一つなのかもしれない。


■関連記事:
「書店の減り具合」と「書店の売り場面積動向」のグラフ化を仕切り直してみる(2008/08/19)】

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

スポンサードリンク



 


 
(C)JGNN||このサイトについて|サイトマップ|お問い合わせ