野菜と果物をしっかり食べて食道がんのリスクを減らそう
2008年08月15日 12:00
厚生労働省研究班による多目的コホート(JPHC)研究班は8月14日、野菜や果物の摂取と食道がんとの関係にを調べた結果を発表した。それによると野菜や果物をたくさん食べる人は食道がんにかかりにくい傾向が見られることが明らかになった。研究班では「食道がん予防には禁酒・禁煙が一番だが、野菜や果物の摂取もそれなりの効果が期待できる」としている(【発表リリース】)。
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今調査は岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県柏崎、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古に在住の45~74歳の男女3万9000人ほどを対象に、1995年を調査開始年とし、2004年まで追跡したもの。なお追跡調査中に食道の扁平上皮がん(以後、食道がん)診断患者が出ている。
これまでにも「野菜と果物の摂取量」が増えると食道がんのリスクが低下するという傾向は確認されていたものの、統計学的に「効果があるらしい」と見なされたのは「野菜と果物の合計摂取量」のみだった。今回の統計調査によれば、「野菜・果物をもっとも多く食べるグループ」の食道がんになる確率は「もっとも少なく食べるグループ」の52%にとどまっていた。野菜・果物それぞれ単独項目で比べてみてもそれなりの効果は出ているが、総量における「約半減」という効果にはかなわなかった。
野菜・果物摂取と食道がん発症リスク
具体的な数字は掲載されていないが、1日あたりの野菜・果物摂取量が100グラフ増えると、リスクは約10%軽減されたという。また種類別ではキャベツや大根、小松菜などのアブラナ科の野菜でのみ「食道がんリスクが軽減されているようだ」という特徴が見られたという。これはアブラナ科の野菜にはイソチオシアネートという、(実験研究などで)発がんを抑制する物質が多く含まれているからのようだ。
食道がんの最大のリスク上昇要因とされている「喫煙、飲酒」とかね合わせた場合、「喫煙して大いに飲酒する」人で野菜・果物の摂取量が少ない人は、野菜・果物をたくさん摂取している人に比べてリスクが約2.7倍も高いことが明らかになった。
喫煙・飲酒習慣別にみた、野菜・果物摂取と食道がんリスク
要は「大酒飲みや喫煙者でも、野菜・果物摂取による食道がんリスクの軽減効果は大いに見られる」という次第。
ただし注意して欲しいのは「酒やたばこを飲んでいても野菜や果物を食べれば食道がんなど問題ないね」という状況ではないこと。上記の表を見れば分かるように、例え野菜や果物を多量に摂取しても、喫煙・多量の飲酒をした場合には「禁煙・少量飲酒(+野菜や果物の摂取量は低め)」と比べて食道がんの発症率は2.86倍であり、大きく増加する傾向であることに違いはない。
研究班では「野菜・果物の摂取量が増加すると食道がんが予防出来る可能性が高いことは分かったが、それを確定付けるには今後さらなる研究が必要だ」としている。またもちろん、喫煙や飲酒を控えることも欠かせないだろう。
食道がんは40歳代後半以降急速に発症率が高まり、特に男性は女性と比べてその率が高い(男性は女性の5倍以上)。その大きな要因は、喫煙・飲酒・高熱飲料による食道粘膜の炎症・肥満などとされている(【がん情報センター】)。この年代以降の男性は、もう少し野菜や果物の摂取を心がけた方がよいのかもしれない。
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