【更新】麻生太郎幹事長、株式配当などへの税制改正を提言
2008年08月10日 12:00
各メディアの報道によれば自由民主党の麻生太郎幹事長は8月9日に札幌市などで行われた講演の中で、政府が検討している緊急経済・景気対策として、一定枠内の株式配当に対する非課税などを柱とする考えを明らかにした。さらに住宅取得促進・時限立法による設備投資減税などについても検討すべきとし、「今やらなきゃならない話」だと断じている。
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今件については【麻生氏自身の公式サイト】に言及がなく、セリフ回し以外は各メディアによって「語られた」とされる内容に微妙なずれが生じているので、どれが本意であるのかが把握できない。そこで主要メディア毎に語られていることをまとめてみることにする。
■共通部分(セリフ回し)
「景気対策をしないとたぶん法人税(収入)は減る」
「(非課税枠新設で)貯蓄から投資という流れを税制でやる。政府は1円も出す必要はない。規制を切り替えるだけで日本中の株の評価が上がる」
「(非課税枠について)首相になったらやりたいと思っていたが、待っていられない(そんなことを言っている場合じゃない)。やるならいまだ(今やらなきゃならない話だ)」
■税制部分に関する説明
・株式配当に300万円の非課税枠を新設([共同通信])(他に「住宅取得や設備投資を促すための減税策」)。
・株式300万円から出る配当や譲渡益を無税に(言い換えで「300万円以下の株式を1年以上保有した場合の配当と譲渡益を非課税に」)。([毎日新聞])(他に「住宅取得を促すための減税や、設備投資の減税」)
・年300万円以下の株式配当を非課税に([時事通信])
・300万円までの株式投資について配当金を非課税とする(「証券マル優制度(仮称)」)。1年間保有した株式の配当金を非課税に([日経新聞])
・300万円の株式から出る配当益”など”を非課税とする([読売新聞])
・300万円までの株式の配当は無税に([NHK])
ざっと挙げただけでもこのような形で、どれが正しいのか確認が出来ない。[テレビ朝日の記事]にはかろうじて一部分だけだが、麻生氏の直接の語りが動画として掲載されているが、それによると
「株を買ったら300万円については無税にします」
と発言しているのが分かる。この部分だけだと「購入価格300万円以内の株式については、配当も譲渡益も非課税とする」ように聴こえるが、それが「一取引」なのか「年間」なのかは不明。他にも関連した言及は行われたのだろうが、主にこの言い回しから各メディアが独自解釈をして肉付けをしたため、情報が錯綜しているものと思われる。
果たして配当のみが対象になるのか、譲渡益も対象に加わるのか。300万円は「株式の額」なのか、「配当(や譲渡益)の額」なのか。保有期間は無関係なのかそれとも1年以上なのか。気になる点は山ほどある(し、実現するかどうかはまた別の問題だ)が、今後緊急経済対策の話が具体化するにつれ、明らかになることだろう。
ただし、幹事長である麻生氏が証券税制に関して、景気対策の一環としてこのような対応策を持っていることが確認されたのは事実。「財政投入をせずに景気対策」という件もあわせ、今後の展開に注目したいところだ。
……ちなみに。「首相になったらやりたいと思っていたが、待っていられない」という言い回しから、麻生氏が遠い未来ではなく、そう遠くない将来において自身が総理になることを想定・希望しているニュアンスが見受けられるのだが、これは気のせいだろうか。
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