【更新】株主優待の地方税版!? 「ふるさと納税」のプレゼント制度増加中

2008年08月05日 06:30

ふるさとイメージ年金や消費税問題の影に隠れてあまり報じられることはないが、今年の4月30日に「地方税法等の一部を改正する法律」が公布され、個人の住民税における寄付金税制が大幅に変更された。(主に)自分のふるさとに貢献し、納税の面から応援したいという意図を反映すべく、「地方自治体へ寄付金をすると、その大部分が現在住んでいる自治体の住民税から控除される」という仕組みだ。間接的に任意の自治体に住民税(地方税)の一部を納付できるため、俗に「ふるさと納税」と呼ばれている。この「ふるさと納税」を自らの自治体に呼び込もうと、各自治体が「特産品の提供」をはじめ、さまざまなキャンペーンを行っているのだ。

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「ふるさと納税」とは

「ふるさと納税」の仕組みは【総務省の解説ページ】に詳しく説明されているが、図解にすると以下のような形になる。

「ふるさと納税」の概略。実際には納税者の家族構成や住民税の額によって多種多彩なパターンが存在する。
「ふるさと納税」の概略。実際には納税者の家族構成や住民税の額によって多種多彩なパターンが存在する。なお今件の場合、住民税控除は寄付を行った翌年分の住民税から控除できる。また、別途所得税の減税(今件では3500円)も発生するがこちらは寄付を行った年に控除される
「従来の住民税総額」より
「ふるさと納税」と
「控除された後の住民税」の
合計の方が
金額的には高くなる

要は、本来自分が「現在住んでいる」自治体に収めるべき住民税の一部を、他の自治体へ寄付(擬似納税、「ふるさと納税」)することにより、その大部分を住民税(そして一部は所得税)から控除してもらえるというもの。最初から5000円分の控除対象外金額が設定されているため、「金額的には(5000円分だが)損をする」計算になる。この5000円は手数料、ということなのだろう。

※「色々な計算」……実際には寄付先の自治体名称と寄付金額を記載した申告書を提出すればよく、「面倒な」計算の必要は無い

「ふるさと納税」さん、いらっしゃい~

北海道士別市「羊肉カレー」や「ジンギスカンセット」イメージ節税というよりは、生まれ故郷など自分と深い関係のある自治体を支援(あるいは「仕送り」)する意味合いの強い「ふるさと納税」。「ふるさと納税」を受ける(特に地方の)自治体も勧誘に必至となっている。自治体の財政状況をアピールしたり、ふるさとの良さを喧伝するのはもちろん、株主に対して送られる感謝の商品「株主優待」のように、「ふるさと納税制度」を用いて納税した人に、地域の特産品などを提供する「ふるさと納税プレゼント」の動きが急速に広まっている。

直近の制度導入は、例えば【ニュースを「ふるさと納税制度」「特産品」で検索する】と、実に多くの自治体でプレゼントの提供制度がスタートしていることが分かる。具体的な例を挙げると

・北海道士別市……「羊肉カレー」や「ジンギスカンセット」など5種類の中から1つ
・北海道池田町……「十勝ワイントカップ」の購入権
・北海道むかわ町……穂別メロンや鵡川ししゃも(抽選)
・福岡県久留米市……とんこつラーメンセットなど
・大阪府池田市……ビリケングッズ
・佐賀県……「九年庵」のペア入場券
・兵庫県香美町……ベニズワイガニや但馬牛など6コースから


などなど。統括された事務局が国レベルで用意されているわけではなく、地方自治体がそれぞれ独自に行っているので、全体では把握しきれない。おそらくそう遠くないうちに、ヤフーなどのポータルサイトが「ふるさと納税ポータル」と称し、日本地図と連動させて「ふるさと納税」の特典や特徴一覧を、それこそ「ヤフーファイナンス」の株主優待と同じような仕組みで提供するものと思われる。残念ながら当方にはそこまで展開するほどの技術力は無い(笑)(一応すでに【ニュースのトピックスはあるようだ】)。

傾向と留意点

プレゼントイメージ色々な地域・人の思惑も絡んで導入から3か月あまりが経過した「ふるさと納税」の仕組みだが、株主優待のように「特産品につられて納税する」という人はさほど多くは無いようだ。元々節税効果は無く、「気持ちを納税・寄付という形で伝える」意味合いの強い制度なだけに、通常の寄付金制度と同様の、あるいはそれ以上の効果が生まれているという話もある。

例えば先の岩手・宮城内陸地震で被害が出た自治体への寄付が目立って増えているという話も耳にする([「ふるさと納税 特産品よりも使い道で工夫を」])。また、特産品の提供ではなく、寄付された「ふるさと納税」の使い道を寄付した側が選べる制度を導入している自治体も増えてきた。善意の意思を明確に、ダイレクトに伝えたいという要望に応えてのものだ。

「ふるさと納税」は
納税・寄付を使って
想いを伝えたい
人と地域の
橋渡しをする制度

また、「株主優待制度では最低単元でも優待がもらえるところも多い。それと同じように、最低限の納税でも特産品がもらえるかも☆」とセコい考えを持つ人がいるかもしれない。しかし「ふるさと納税」のお礼として特産品を提供する自治体では、それぞれ制限をしっかりと設けている(例えば士別市の場合は1万円以上、年1回に限定)。残念でした、ということだ。

「ふるさと納税」はあくまでも「寄付金」「納税」の仕組みを通じた「気持ち」の伝授。一般的な寄付と違い、自分が想いを寄せる地域に、ダイレクトに「贈る」ことが出来るのが最大の特徴である。今後制度がさらに整備され、融通が効くようになれば、より多くの人が使うようになるだろう。

なお「ふるさと納税」の制度を活用し、居住地の住民税控除を受けるには、確定申告をしなければならない。アメリカと違って自ら確定申告をする人の少ない日本では、「確定申告をする」こと自体が大きな負担となる。制度の簡略化が今後求められよう。


【情報提供:名無しさん@お金いっぱいさん】。Thanks!

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