カレーの成分を元に作られた「CNB-001」が記憶力を増加させるかも!?

2008年08月19日 06:30

カレーイメージ武蔵野大学は8月18日、薬学部の阿部和穂教授らによる研究グループがカレーの成分であるターメリックの含有成分からヒントを得て合成した化合物「CNB-001」に、実験用マウスの記憶力を向上させる効果があることを発見したと発表した。アルツハイマー病治療や予防薬の開発に役立つ可能性があるとして期待されている(【発表リリース】)。

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カレーに含まれるさまざまなスパイスには、人の健康を増進させる効果があるといわれている。中でもターメリック(ウコン)には、クルクミンという化合物が含まれていて、肝臓の保護作用を持つものとして広く知られている。さらに脳に対しては、抗酸化作用による脳の保護効果、さらにはアルツハイマー病の原因物質ではないかとされている「アミロイドβ蛋白」の蓄積を防ぐ効果もある。これらのことから、クルクミンの効用を研究することにより、アルツハイマー病治療・予防薬の開発に役立つのではないかと考えられてきた。

インドではアルツハイマー症が少ない

カレーが原因では?

カレーの成分ウコンのクルクミンが関係?

ちょっといじってCNB-001を作った

CNB-001はマウスには記憶力増強の
効果があるようだ!

阿部和穂教授率いる薬理学研究室では、アメリカ・ソーク研究所のデビッド・シューベルト博士との共同研究で、このクルクミンと誘導化合物の脳に対する作用を研究。結果として、クルクミンの神経保護効果は確認できたものの、直接「記憶力を高める作用」までは認められなかった。そこでクルクミンの化学構造を少しだけ変えた化合物(CNB-001と命名)を作ったところ、神経保護効果だけでなく「記憶力を高める作用」を認めることができたという。

具体的には「ラットの脳の記憶形成に関する部分にCNB-001の溶液を加えたところ、(記憶の)”長期増強”現象が起こりやすくなった」「ラットに物体再認試験を実施したところ、CNB-001を飲ませたラットの方が一度見た物体をよく覚えていた」「CNB-001には記憶の関わる酵素(Ca2+/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII(CaMKII))を活性化する効用が確認できた」とのこと。

要は「カレーにはアルツハイマー症を防ぐ、記憶力にプラスの効用を示す成分があるらしい」「キーはターメリック(ウコン)では? と考え調べてみたが、ターメリックの成分クルクミン自身には神経保護機能しか確認できなかった」「それじゃちょっとクルクミンの構造をいじって化合物CNB-001を作ってみよう」「CNB-001をマウスに試してみたら、どうやら記憶力を活性化するようだぞ」という流れ。

この「CNB-001」はマウスに対しては「飲んで」(注射などではなく)有効な働きを示すもの。これまでには無い仕組みで脳を直接活性化し、記憶を促進する新薬の可能性が見出せたことになる。今後さらに検証を重ねることで将来的には、新しい認知症の治療薬の候補になるのではないかと期待されている。

元々「インドではアルツハイマー症患者が少ない」という疫学データを元に「カレーが何か影響を与えているのでは」という連想から始まったこの研究。医食同源のごとく、「食」が「医」と大きな結びつきがあるものとしても注目されるに違いない。

……もちろん現状では、例えば「毎日カレーを食べていればアルツハイマー症にかかりにくくなる」ことが証明されたわけではない。カレーが好きだからといって、母親や配偶者にこのことを教え、カレーを毎日作るようにとうながすのは無理があることを付け加えておこう。

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