自給率「上げていくべき」増加中 現在9割 認知も高まる
2008年08月02日 12:00
エルゴ・ブレインズは8月1日、「食に関する調査」の結果を発表した。それによると、日本の食料自給率を高めていくべきだと思う人は全体の91.7%に達し、過去の調査の中ではじめて9割を超えたことが明らかになった。現行の自給率の正しい認知も広まっており、食料価格の高騰の中で「自給率」に対する自覚が高まっていることがうかがえる(【発表リリース、PDF】)。
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今調査は7月11日から16日までの間、インターネット経由で行われたもので有効回答数は1000人。男女比は57.1対42.9.年齢階層比は25~29歳が13.5%、35~39歳が11.5%など。
まずは日本の現状における食料自給率の認知度についてだが、以前の調査(2007年11月・2008年5月)と比べると確実に正解ゾーンへの回答が増加傾向にあることが分かる。前回調査との期間がやや短めで、誤差とは言い切れない差異が出ているので、「露出が増えて多くの人に正しい答えが知られるようになった」と見て良いだろう。
日本の食料自給率は? 前回調査比較
ちなみに正解は【7年間で39%から45%へ・食料自給率向上計画】にあるように、熱量ベースで39%に過ぎない。現在農林水産省では7年をかけてこの自給率を45%に上げるよう運動を進めている。
現状認知度が高まると共に、自給率を上げるべきたという意見も強まっている。今回の調査では9割を超える91.7%の人が「上げるべきだ」と回答。過去の調査から確実に増加傾向を見せていることが分かる。
自給率をどうするべきか
一年弱前の2007年11月調査の84.6%から実に7.1%の増加。短期間で多くの人が自給率について考え、上げるべきだと新たな判断を下したこととなる。
【食料輸入が途絶えた時、食卓に上がるメニューとは】のグラフなどにもあるように、日本の自給率39%は先進諸国内でもとりわけ低い水準にある。比較的自然に恵まれ、周囲を海に囲まれて海産物に期待できるような環境下でも、アメリカの128%・フランスの122%はともかく、ドイツの84%、イギリスの70%、そしてスイスの49%にすら及ばない。
識者の中には「だからこそ無理して自給率を上げるより、諸外国に頭を下げ続けていかねばならない」と本末転倒なことを声高に叫ぶ人もいる。しかし外交においてもバックボーンの弱い強いは大きく影響することになるのも事実。そのバックボーンは軍事力であり、政治力であり、そして他の資源同様に食料自給率であることを忘れてはならない。
「自分で作れなくても他からもってくればいいや」という姿勢が、「万が一」の時にどのような事態を招くのか(要は「安全保障上の問題」にもなりうる)を考え、食料自給率についてもう一度見つめ直す必要があるのだろう。
(最終更新:2013/08/03)
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