水道水 そのまま飲む人約4割 ミネラルウォーター 利用者3割
2008年08月24日 12:00
内閣府は8月11日、水に関する世論調査結果の概要を発表した。それによると、水道水をそのまま何も加工せずに飲料水として飲んでいる人は全体の4割足らずでしかないことが明らかになった。一方で浄水器を設置している人は3割超え、ミネラルウォーターなどを購入して飲んでいる人は3割に迫る数字を表しており、「水を飲む」ことにも色々と気を使う時代になったことがうかがえる(【発表ページ】)。
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今調査は6月12日から22日までの間、調査員による個別面接聴取方式で20歳以上の人を対象に行われ、有効回答数は1839人。男女比は826対1013。
今調査では「水」を多種多様な面からかえりみた質問が行われているが、今記事では「飲み水について」焦点を絞ってみることにする。普段水をどのように飲んでいるか尋ねたところ、「特に措置を講じずに、水道水をそのまま飲んでいる」がもっとも多く全体の4割近くを占めた。
普段水をどのように飲んでいるか(全体、複数回答)
逆にいえば「水道水をそのまま飲んでいる人は4割にも満たない」ということになる。次いで「浄水器を設置して利用」が32.0%と3割超え、「ミネラルウォーターを購入して飲んでいる」が3割近くに登っている。
お酒の割水としてだけでなく、世間一般に広く飲み水として「ミネラルウォーター」が普及をはじめたのは、【ハウス食品(2810)】が1983年に「六甲のおいしい水」を発売したのがきっかけ。当時「水はほとんどタダで水道水を飲むもの」という時代に「お金を出して水を買う」という商品は色々な意味で衝撃的だったが、翌年の1984年夏には大規模な水不足が発生し、セールスに拍車をかけるようになった。「家庭用」ミネラルウォーターの普及からまだ20年強しか経過していないにも関わらず、3割近い普及率を得るまでになったのは、ある意味驚異的な伸び率といえよう。
次に、都市の規模別に飲み水の違いを見てみる。都市環境によってライフスタイルや飲み水の良し悪しは違うので、どんな水を飲んでいるかも違ってくるはずだ。
普段水をどのように飲んでいるか(都市規模別、複数回答)
利用頻度が高い
・都市部
・若年層
想像通り、都市規模が大きくなるほど水道水をそのまま飲むことはなく、浄水器を利用したりミネラルウォーターを使っているのが分かる。特に東京都区部では「水道水を敬遠する」傾向が強い。昔と比べると昨今では東京の水も良くなったといわれているが、それでもまだ抵抗感は強いのだろう。
一方で「ミネラルウォーター」「浄水器」の利用度は中都市より規模の小さい都市になると、「そのまま水道水」を下回るようになる。特に町村部ではミネラルウォーターの利用度は3割を切る。目の前の水道をひねって出てくる水がそのままミネラルウォーターのような場所では、わざわざお金を出して買うこともないのは十分に理解できる。
次に年齢階層別に見たもの。お金を出して水を買うという「ミネラルウォーター」への抵抗感は、やはり高年齢層には高いようだ。
>普段水をどのように飲んでいるか(年齢階層別、複数回答)
利用率が高いのは
・直近ブームの影響
・主婦層の購入
20代のミネラルウォーターの利用度は実に44.8%。それに対して70歳以上になると2割を切ってしまう。長年水道水を愛飲してきた人たちには「ミネラルウォーター」を買う状況そのものが、信じがたいものなのかもしれない。当然「水道水をそのまま飲む」割合は高齢層になるほど増えていく。
興味深いのは「浄水器の設置・利用」が40代をピークにしていること。1985年~1990年には直近の浄水器ブームが起きているが、この時に買った二十歳台の人が現行でも使い続けているということなのだろうか。あるいは家計を預かる子持ちの主婦が、家族の健康を案じて購入しているのかもしれない(今回は図表にしていないがそれを裏付けるように、職業別では「主婦」の浄水器保有率が一番高く38.7%に達している)。
かつて「水と空気はタダ」という言葉があったが(今でもあるか……)、今や水も空気もお金を出して買える時代。それだけ皆が健康について考え直す時代ということになるが、同時に水も空気もちまたにあふれている分が汚れつつあることも意味する。
常日頃気軽に手に入るものだからこそ、いざ手が届きにくくなると大切さを再認識するようになる。今一度、水や空気の大切さを再確認してみてはいかがだろうか。
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