【更新】アーバンコーポレイション(8868)、民事再生手続き開始申し立て・上場廃止決定。負債総額2558億3200万円

2008年08月13日 19:35

株式イメージ商業複合施設、オフィスビルなどを開発・再生し、ファンドなどに販売する大手不動産業者で、東証一部上場の【アーバンコーポレイション(8868)】は8月13日、同日開催の取締役会において民事再生手続き開始の申し立てを行うことを決議。東京地方裁判所に申し立てを行い、ただちに受理され、保全処分命令・監督命令が発せられたと発表した。負債総額は2558億3200万円([発表リリース、PDF])。なお有価証券上場規程第605条第1 項に規定する再建計画等の審査に係る申請はしないとのことなので、同社株式は上場規定にのっとり上場廃止となる。東証も8月14日から9月13日までを整理銘柄に指定し、9月14日に上場廃止とすることを発表している。

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アーバンコーポレイションは、不動産仲介業を目的とし1990年に設立された不動産会社。以降、不動産流動化事業(手持ちの不動産に付加価値をつけて転売する事業)やアセットマネジメント(資産管理)事業なども手がけ総合的な不動産デベロッパーへと発展。1996年9月には上場を果たし、同時期の不動産バブルの波に乗る形で業績を伸ばし、2002年3月には東証1部への上場を成し遂げる。2007年3月期には売上1805億4300万円、純利益300億3900万円・2008年3月期には売上2436億8500万円、純利益311億2700万円を計上し、大手の新興不動産会社として名実共に成長を続けていた。

しかし昨年夏以降の急速な不動産市場の落ち込みによる業績不振(不動産物件の需給バランスの転換や市場価格の下落、開発済み不動産売却そのものの困難化)、金融市場の信用収縮による資金調達のハードルもきわめて高いものとなり、資金繰りも悪化。さらに【アーバンコーポレイション(8868)の株価急落、社長持ち株の強制売却が原因】でも報じたように、社長自らの投資の失敗による損失補てんにおける自社株の強制売買に伴う株価急落が同社の信頼をさらに損ねる結果となり、状況も悪化。

リリースによれば6月以前から信用補完と資金調達などを目的として他社との資本提携などを目指していたが、6月下旬以降上場中堅デベロッパーが相次ぎ倒産手続きを行うなどで市場環境が悪化し、提携先候補者との間での合意も果たせなかった。また、7月には転換社債型新型予約権付社債を発行し300億円ほどを調達する手立てを講じたが、これも同社の状況改善を果たすまでには至らなかった。

このような状況の中、8月14日以降に支払期限が到達する借入金などの弁済や手形決済のための資金繰りのめどが立たなくなったとして、民事再生手続きによる再建を決断したとのこと。

同社直近3か月のチャート。
同社直近3か月のチャート。

3月31日時点の上位10位の大株主には、上場企業の姿は見受けられない。

上場企業の倒産は今年に入って11社目。上場廃止後に破綻したエー・エス・アイ(旧アスキーソリューションズ)を含むと12社目。負債総額2558億3200万円は、今年最大規模のものとなる。また、上場企業における負債総額が1000億円を超えたのは2003年10月の森本組(当時の証券コードは1845)(2153億円)以来。

上場、非上場を問わず、体力の無い不動産・建設業のドミノ倒し的な破綻の状況が見えつつある昨今。株価動向を見る限り、市場はすでに「アウト」勧告をしているようにも見える。現時点では負債・手形などに関するリリースは出されていないが、今は連鎖が起きないよう祈るしかない。

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