「楽」から「安全」へ・3年間で大きく変わった食への想い
2008年08月20日 19:35
gooリサーチは8月19日、食品の安全に関するアンケート調査の結果を発表した。食品や食事の習慣について3年前と比較した場合、国産の食料品の購入をはじめとした「食の安全」に関する項目の多数で「増えた」との答えが寄せられていることが明らかになった。一方でレトルト品の購入など「利便性」を重要視する項目では「減った」との回答が多く、全般的に食生活が「楽から安全へ」シフトしている傾向が見られるようだ(【発表リリース】)。
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今調査はgooリサーチモニターのうち食料品を週一回以上購入している人を対象にインターネット経由で行われたもので、調査期間は6月27日から7月1日。有効回答者数は1059人。男女比は521対538で、年齢階層比は24歳以下が152人、その他25~34歳・35~44歳・45~54歳・55~64歳・65歳以上でほぼ均等割り当て。
食品や食事の習慣をいくつか項目として挙げ、それぞれについて3年間で増えたか減ったかについて尋ねたのが次のグラフ。
3年前と比べた食習慣や購入食料品の変化
3年間で「増えた」「減った」の項目が見事に二分されていることが分かる(もちろん「増えた」層の多い順に並べたからでもあるが……)。「増えた」層と「減った」層でどちらが多いかによって区分すると次のようになる。
・3年間で増えた……国産の食料品の購入、地元の食料品の購入、家庭での料理、無農薬・低農薬の食料品の購入、無添加食料品の購入、有機栽培の食料品の購入
・3年間で減った……惣菜の購入、外食、冷凍食品の購入、缶詰・レトルト食品の購入
「惣菜を購入するよりも、自前で料理をした方が安上がりで済む」と思われていることが多いこともあり、これらの傾向は「食費の削減のため」という考え方もできる。しかし多くの場合、「3年間で増えた」項目は「安全や安心」(と思われているもの)が優先され、「3年間で減った」項目は「時間や手間の短縮」が最優先事項の項目ばかり。
コストはどちらかといえば、後者よりも前者の方が高くつく。それでも「増えた」人が多いのは、やはり消費者が重要視しているポイントが「時間・手間(楽、利便性)」から「安心・安全」に移行しつつあることを示していると見て良いだろう。
ここ数年は特に産地偽装問題や賞味・消費期限偽装問題、さらには生死を分かつような異物混入問題など、「食事って? 食生活って?」と消費者自身が認識を改めさせられる事件が相次いだ。それをきっかとして食品への安全思考は高まり、「食育」「地産地消」などが見直され、スポットライトを浴びるようになった。
似たような傾向は複数の調査結果からも得られている(【食の安全性への不安高まる・8割超が「不安を感じる」】、【食品の安全問題で増加する国産食品への傾倒化】、【「これ大丈夫?」食の安全性が不安な人は9割】など)。自分自身に火の粉が降りかからないと「熱い」と感じないあたりが「人間」らしいところではあるが、同時に「熱い」と感じてから色々な手立てが打てる知恵を働かせるのも「人間」らしさを感じることができる。
もっともこのように「何かが起きて傾向が変わる」場合、時として「端から端」へと両極端に走ることも良くある話。かたよりの生じることのないよう、バランスの良い、そして現状にマッチした調整が求められよう。
(最終更新:2013/08/03)
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