前年から21.8ポイント上昇・「物価対策をしてほしい」との声、急速に高まる
2008年08月19日 06:30
内閣府は8月18日、6月に実施した「国民生活に関する世論調査」の結果を発表した。それによると「政府が今後どのような政策に力を入れるべきか」について尋ねた結果として、「医療・年金などの社会保障構造改革」が最も多く73%であることが明らかになった。また「高齢者対策」「物価対策」「景気対策」などが続いているが、特に「物価対策」は前年と比べて20ポイント以上も増加しており、物価対策を求める声が急速に強まっていることがうかがえる(【発表リリース】)。
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「国民生活に関する世論調査」は現状や将来についての国民の意識や要望を把握し、行政の基礎資料とするために毎年行われているもの。20歳以上の男女を対象に1万人に対して行われる。今年は6月12日から29日の間、調査員による個別面接聴取方式で実施された。有効回答数は6146人。
「政府が今後どのような政策に力を入れるべきか」について複数回答で答えてもらったところ、今年も去年同様年金や医療問題に関するものがもっとも多く72.8%に達していた。
政府に対する要望(前年・今年)
現状のマズさの
裏返しでもある
前年との比較で増えている項目は、逆に考えれば「現状がうまく行っていない事柄」であることを示す。だからこそ「どうにかしてほしい」と政府に要望するワケだ。その意味では上位についた「医療・年金などの社会保険構造改革」「高齢社会対策」「物価対策」などは現状の政策で満足しない人が多いことになる。また、昨年より数字が増えているいるものは、今年は去年より「状況が悪化した」か、「優先順位が上がった」ことを意味する。
その観点で見ると「物価対策」が昨年比で20ポイント以上も、「景気対策」が7ポイント近く上昇しているあたり、「効果のある経済対策」を求める声が急増しているといえる。
政府に対する要望(2001年以降、今年の上位7項目について)
今世紀に入ってからの動向を見ても、ITバブル崩壊後の不況時期(第三次平成不況)において大きく数字を上げていた「物価対策」「景気対策」が景気回復と共に下げつつあったものの、2006年ごろから再び上昇をはじめ、2007年から2008年の間に大きく上げているのが分かる。景気後退・物価上昇が切実な問題として忍び寄るどころか堂々と表玄関からやってきた状況においては、「どうにかしてほしい」と思う人が増えるのも当然といえる。
今調査では生活の程度についても現状・将来双方に対する向きで尋ねているが、「現在は一年前から悪化している」「将来は生活が悪化していく」と答えた人がそれぞれ34%(前年比+9ポイント)・37%(前年比+8ポイント)という答えが出ている。物価が上昇する一方、景気も悪化の傾向が否めない(だからこそ政府に要望するわけだ)現状が、人々の現状や将来に対する不安を助長するのだろう。
心理的に不安要素が増えると不安定感度も増し、ポジティブな行動をとりにくくなったり、ちょっとしたアクシデントで心が折れやすくなってしまう。耳にしたくないニュースが増えるのも道理といえる。景気対策・物価対策は他の要素にも深く関わることだけに「注視する」だけでなく実際の行動を起こしてほしいものである。
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