地方テレビ局の業績状態をグラフ化してみる……(1)直近決算の比較

2008年08月25日 08:00

テレビイメージ先に主要テレビ局5局の直近決算内容や第1四半期決算短信を元に、現在テレビ局が置かれている財務状況や、主要収入源である放送事業の広告(タイム・スポット)の動向を、何回かに分けて記事化した。その際にいただいた質問の中に「地方テレビ局も同じ状態なのかな?」というものがあった。キー局と比べ地方色が強く独自性を持つ一方で、規模的・財務的には弱めな感のある地方テレビ局の状況は、いかがなものだろうか。可能な範囲でグラフ化しながら見てみることにした。

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地方テレビ局とひとくくりでまとめても数十局存在し、それらをすべて網羅するのは無理。しかもほとんどの局は非上場で財務諸表の取得も難しい。そこで、上場を果たしており比較的データが取得しやすい4局(【中部日本放送(9402)】【朝日放送(9405)】【アール・ケー・ビー毎日放送(9407)】【新潟放送(9408)】)に的を絞ることにした。

本来ならケーブルテレビ局も加えると、より面白くなるはず。しかし収益構造が通常放送のテレビ局と違い、受信料に頼るところが大きいがために比較がしにくくなるので、今回は省略。

ちなみに各局の特徴は次の通り(四季報抜粋)。

・中部日本放送……東海3県がエリアで中日新聞色。ラジオ兼営で民間ラジオでは最古。
・朝日放送……西日本最大手民放でテレ朝系列。住宅展示事業再開。「探偵ナイトスクープ」等ヒット番組制作。
・RKB毎日放送……九州北部地盤でラジオ・テレビ兼営。毎日放送・毎日新聞色。独自番組に定評。
・新潟放送……新潟県下のラジオ・テレビ兼営局。情報処理サービス事業を強化育成中。


それでは早速、まずは最新の期末決算短信を基にした各局の比較。

各地方テレビ局の直近決算データ
各地方テレビ局の直近決算データ

表の見方そのものは【主要テレビ局銘柄の決算を比較してみる】を参照のこと。売上・利益規模そのものはキー局と比べてケタ違いに小さいが、前期比の下げ率はやや小さめに見える。

続いて売上高前期比・純利益比・売上高営業利益率の比較。

売上高前期比・純利益比・売上高営業利益率の比較
売上高前期比・純利益比・売上高営業利益率の比較

キー局のグラフと比べて縦軸の比率が違うので「売上高営業利益率」が高いように見えるが、数字的にはほぼ同じレベル。むしろ一部局で売上高を伸ばしているところをほめるべきだろう。

さらに「この値が高いほど効率的な稼ぎ方をしている」ことを意味する「売上高営業利益率」を確認。

売上高営業利益率
売上高営業利益率

中部日本放送だけが突出して大きな値を示しているが、他はキー局とさほど変わらない。中部日本放送は直近決算期だけでなく以前から高い値を示しており、体質的に「儲けを得やすい」スタイルであることが分かる。

さて気になるのは、主事業の放送事業における営業利益(要は「本業の稼ぎ」)の前年との比較。

放送事業営業利益・前年度比
放送事業営業利益・前年度比

キー局では軒並み20~50%のマイナスで頭を抱える数字を出していたが、地方局でも状況はさほど変わらない。唯一目を見張るべきは、RKB毎日放送の+22.1%という値。よく調べて見ると、売上そのものは他局と変わらず下げ基調で前年比-2.2%の値を出している。しかし大規模なリストラや部局改変を行い、経費を大幅に削減。売り上げを減らしてもそれ以上に出費を抑えることに成功し、結果として放送事業における利益アップに成功している。

(続く)

■一連の記事:
【地方テレビ局の業績状態をグラフ化してみる……(1)直近決算の比較】
【地方テレビ局の業績状態をグラフ化してみる……(2)直近第1四半期の成績直近決算の比較】
【地方テレビ局の業績状態をグラフ化してみる……(3)「スポット広告の減り具合」とまとめ】

(最終更新:2013/08/03)

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