「まったく見ない」日本は18%でアジアトップ・栄養成分表示への無とん着さ、それとも……
2008年08月24日 12:00
ニールセン・カンパニーは8月12日、世界51か国に対する食品表示と栄養に関するインターネットの調査結果を発表した。それによると食品の栄養成分表示に目をまったく通さない割合は、アジアでは日本人がもっとも低く18%に達していることが明らかになった。常に確認する度合いも23%と低めであり、意外にも日本人が栄養成分表記に無とん着である可能性が示唆されている(【発表リリース、PDF】)。
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今調査は今年4月、世界51市場の2万8253人の人を対象にインターネット経由で行われたもの。リリースいわく、この類の調査としては、世界で最大規模のものになるという。
パッケージングされた食品に、その食品の栄養成分を表記するのは日本はもちろん多くの国で、細かいルールのもとに義務付けられている。そして食生活を中心にしたライフスタイルと「食の安全」に注目が集まる中、正しく役立つ栄養成分表記をすることが企業にとってもプラスの要因となりつつある。日本でもここ数年、食の安全を再認識させられる事件が相次いだことから、改めて気にしている人も多いだろう。
さて今回調査対象となったアジア諸国それぞれにおいて、食品を購入する時に栄養成分表示を「常に確認する」人の割合は次の通り。
食品を購入する時に栄養成分表示を「常に確認する」人の割合(アジア限定)
日本は中堅やや下層の位置。5人に1人ほどが「常に確認している」と答えている。もっとも高いのはタイ、ついでベトナム、インドネシア、インドなど、新興諸国に高数字が見られる。
逆に、「まったく確認しない」人の割合はアジアで日本がずば抜けて高く、2割近くを表している。
食品を購入する時に栄養成分表示を「まったく確認しない」人の割合(アジア限定)
こちらの値では日本同様に比較的インフラなどが整い発展を遂げている西洋系の国に高い数字の傾向が見られる。
単純にこの数字だけを見ると、
・日本は食品の栄養成分表記への関心が低い。
・新興国では栄養成分表記をよく見る傾向がある。
などの傾向が見とれる。これらから推測されるのは
・新興国では食品やその製造企業に対する信頼度がまだ高くないので、内容を確認しなければならない
・日本などの比較的社会インフラが整った国では企業への信頼感がある程度高いので、銘柄、企業買いをするため栄養成分表記にまで気をかけない
・新興国では宗教上の理由から栄養成分を確認しなければならない場合が多い※注
あまり気を留めないのは
元々加工食品など
成分表記をする食品への
接触機会が
多くないため?
といった行動パターンだろうか。
リリースではこのほかに、「フランス人も日本と似たような傾向(栄養成分をまったくみない人の割合が高い)があるが、両国は共に肥満度が低く、加工食品に頼らない自然食品をベースにした食文化を持つという傾向がある」ことを伝えている。つまり、「企業買い・食品ブランド買い」や「栄養成分に無とん着」というより、「栄養成分を表記しているようなパッケージ食品を購入する機会が低いので、目に留める機会も少なく、結果として『表記確認』の習慣が身につきにくい」というものだ。
詳しいデータは公開されていないが、つまり「栄養成分表記」を確認する一番の動機は、安全性でもアレルギーでもなく、「ダイエット」が理由だとのこと。それとあわせ、【三大肥満大国はアメリカ・メキシコ・イギリス】や【世界の肥満度がビジュアル化されると……】などを見返すと、なるほどその推論も十分説得力のあるものといえる。
食品・企業・ブランドへの信頼、パッケージ食品への不慣れなどの実理由はあれど、表現の仕方を変えれば「日本人は栄養成分表記に無とん着」であることにも違いはない。成分・産地偽装問題が相次ぎ、半ば嫌気がさしている人もいるだろうが、消費者の立場では栄養成分表記を信じて判断するしかない。
俗にいうメタボ人口が増加する昨今、今後日本でも「ダイエット」を動機として成分表記を気にする人も増えてくるだろう。幸いにもここ数年来、多くの企業で自社食品のしっかりとした成分表記をするようになった。コンビニの惣菜コーナーを見れば、白地のシールにびっしりと各種成分表記がされているのが目に留まるはず。
自分が手にとった、これから口にしようとしている食品がどのくらいのカロリーや塩分、脂質などを含み、問題視されているような成分が入っているのがどうか(例えばトランス脂肪酸)、確認する習慣をつけてみるのも悪くない。
※「はてなブックマーク」において、「(イスラム教などを信仰している場合が多いアジア新興国では)宗教上、禁忌の食成分が含まれていないか確認しなければならないためでは」という指摘がありました。その指摘で道理が通りますので、この理由を追加します。その観点で考えると「宗教の事情」があまりないのも、日本では「まったく見ない」割合が多い一因なのでしょう。
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