動画共有サイトはYouTubeが圧倒的・Q&AサイトではYahoo!知恵袋が健闘か
2008年07月23日 19:40
総務省が7月12日に発表した2008年度版の情報通信白書内の「世界の情報通信市場における我が国企業のプレゼンス」によると、2008年1月の時点で日米主要の動画共有・配信サイトの分野では【YouTube】が他サービスを突き放す形で最大の利用者数を確保していることが明らかになった。その数の大きさは、他サービスそれぞれにおいて「全世界の」利用者数を足してもYouTubeの「日本からの利用者数だけ」にかなわないほど。いかに同サービスが多くの国から多岐に渡り利用されているかが分かる。また、Q&Aサイトでは【Yahoo!知恵袋】が、ほとんど日本国内からの利用者だけであるものの、利用者数の点ではかなり健闘しているようすがうかがうえる(【発表ページ】)。
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まずは動画共有・配信サイト(サービス)の2008年1月時点における主要国からの利用者数だが、YouTubeの圧倒的な利用者の多さが再確認できる。
日米主要動画共有・配信サイト利用者数(2008年1月)
何しろYouTubeの日本人利用者の部分だけで、二位のGoogle Video以下どのサービスも、主要国すべての利用者を足しても太刀打ちできないという有様。また、アメリカのサービスは多国展開しているものが多く、多かれ少なかれ日本人をはじめとする他国の利用者が多く見受けられるものの、日本発の動画配信サービスはほぼすべて日本人のみという結果も分かる(多少はいるが誤差の範囲)。これも【検索サイト利用者数、世界の順位は「Google」「MSN」「Yahoo!」の順】などにある通りが、日本のサービスが他国・多国言語展開していないのが大きな要因と思われる。
一方、やや健闘しているように見えるのは情報共有サイト。ここではWikipediaだけでなくQ&Aサイトも含めて、ということになる。
日米主要情報共有サイトの日米欧における利用者(2008年1月)
より純粋な意味で「情報共有」に近いWikipediaは英語だけでなく多国言語で展開していることもあり、多くの国から多数の利用客を集めている。もっともWikipediaそのものはQ&Aサイトとは性格を別のものとしており、「情報共有」という観点で今グラフ内に納められているだけに過ぎない。
Q&Aサイトのみの観点で見ると、「Yahoo!知恵袋」の原版ともいえるYahoo! Answersが多くの利用者を確保している。しかし他の「視覚的に何とかなる」英語サービスと違い、内容を熟知する必要があるQ&Aサービスにおいては、日本人が他の言語(特に英語)サービスに顔を出しているようすは見られない。他のサービスと同じように「日本発のサービスは日本人のみが利用している」という状況に変わりはなく、Q&Aサービスに限定すると、ほぼ「運営国言語の利用者がほとんど」という、鎖国のような状態が続いていると見て良いだろう。
色々な独自機能を持つ動画共有サービスが相次いで登場し、一部にはそれなりに奮戦しているところもあるが、口コミのしやすさなどもあわせて考えると「YouTube」の優位性はゆるぎないものがある。今後ますます他のサービスとの差が開き、「YouTube」は今まで以上に動画共有サービスのディファクトスタンダード的な立場を維持するだろう。
他方情報共有サイト、特にQ&Aサイトではそのコンテンツの独自的な特異性(見た目で分かる、ではなく文章が熟読できないと、参加はもちろん閲覧だけでも楽しくない)から、言語圏単位での「鎖国」が生じつつあるのが分かる。自動翻訳機能を用いてそのハードルを低くしようという試みもあるが、翻訳の精度が上がらない限り、誤解を招くばかり。今しばらくは「なんとなく見ているだけ」の状況が続くに違いない。
動画共有サイトもQ&Aサイトも、うまく運用が出来れば最低限の労苦でコンテンツのボリュームが相乗的に増加し魅力も増していく、CGM(Consumer Generated Media、利用者が内容を創って行くメディアのこと)ならではの恩恵を受けることができる。【10代は動画投稿サイトが大好き!! 年齢階層別に見た「従来四大メディア」と新情報メディアのせめぎ合い】などで触れているが、特に新しいもの・楽しいものに敏感な若年層からの人気が高いのも特徴の一つ。
現在の順位の並びを崩すような新サービスが登場する可能性はあまり高く無い。むしろここしばらくは、現サービスが洗練化され、寡占化が進むことだろう。
(最終更新:2013/08/04)
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