「あのケータイ掲示板やSNS、健全!?」22項目のチェックリスト策定
2008年07月01日 06:30
携帯電話のサイトの健全性を審査・認証する民間機関の有限責任中間法人モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)は6月30日、掲示板やSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などのコミュニティサイトを運営する管理体制の認定基準を発表した。すべての項目を満たしたサイトを「健全」と認定し、フィルタ対象から外されることになる(【発表リリース、PDF】)。
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EMAは携帯電話のコンテンツに対する規制強化という社会的に高まる要望に対し、携帯電話の事業者などが自主規制機関として4月に設定したもの。今回発表された認定基準は「基本方針」「監視体制」「ユーザー対応」「啓発・教育」の4部門に分類され、22項目が要求される。
その22項目の概要は次の通り。
1. 利用規約の存在及び同意
2. 健全化に資する運用方針の明示
3. サイト運用管理体制に関する専門意思決定機関の設置
4. 青少年利用を前提とした利用環境の整備
5. 青少年利用に配慮した投稿対応基準
6. 青少年利用に配慮した広告掲載基準
7. 投稿ログの保存
8. 目視・システム抽出等によるサイトパトロール(監視)の実施
9. サイトパトロール(監視)体制における監視人員数規模
10. サイトパトロール(監視)体制における管理者の配置割合
11. 緊急を要する投稿への対応
12. 監視人員教育研修及びノウハウ共有制度の実施
13. 問い合わせ対応窓口の設置
14. 通報制度等の設置
15. 通報・問い合わせ等対応手順
16. ユーザー情報管理
17. ユーザー年齢管理
18. 強制退会処分及び投稿禁止措置の実施
19. 注意警告対応・ペナルティ制度の実施
20. 注意喚起と禁止事項の整備
21. FAQ 等の整備
22. 啓発・教育コンテンツの設置
各項目の具体的内容はリリースやそのリリースが提示している資料に記載されているが、例えば「7. 投稿ログの保存」では三か月以上のログ保存が求められる、「11. 緊急を要する投稿への対応」では原則12時間以内(サイトの特性によって24時間以内)に外部機関に連絡をする体制を整備しなければならないなど、厳粛なシステム作りが求められている。
一方で「6. 青少年利用に配慮した広告掲載基準」内の表記「青少年の利用に配慮した広告掲載基準を有していなければならない」など、「誰が配慮した内容か否かを判断するのか」など、基準内容にやや不明瞭な部分があるのも否めない。要は良心と共に、状況に応じて判断する、ということだろうか。
EMA側ではこれらの基準を元に、7月中旬から審査の受付を開始し、全項目をクリアしたサイトを「健全」と判定。18歳未満へは原則として適用されるフィルタリングサービス(閲覧できないようにする仕組み)の対象から外す方針。
なお今回掲示板やSNSなどのコミュニティサイトの判断基準が他の様式に先んじて発表されたのは、現行方式ではすべてが制限の対象とされていたため。安全を求めるためには仕方ないとする一方、規制が杓子定規すぎるという批判もあった。
22項目の内容を精査してみると、非常に厳しいチェックリストで、厳粛に守るにはそれなりの規模の管理体制が求められることになる。また、広告や投稿基準においては、現状の仕組みではチェックをクリアできない、とするコミュニティサイトも出てくることだろう。多くのケータイコミュニティサイトで、システム・管理体制の変化が生じる可能性がある。
一方、携帯電話向けに限らず、コミュニティサービス全体にとって、このリストは「誰にも後ろ指をさされることなく胸を張れるサービスを提供できるか否か」を確かめるチェックリストにもなる。個人ベースでもそれなりに参考になることだろう。
具体的に審査が始まって以降でないと分からないが、どのようなサービスが審査をクリアするのか、注目したいところだ。
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