「米粉パン」は国産の米粉を100％使用したもので、これまでによく見受けられた「一部に米粉を使う」ではなく、国産米粉を100％使ったもの。リリースによれば大手パン製造会社や全国チェーンの小売会社の中で、国産米粉100％を原料としたパンを全国的に販売するのは今回が初めて。

「米粉ぱん」を全国販売するにあたり、米粉の弱点(グルテンと相性が悪いため、ふくらまない・ぱさつく・時間がたつと硬くなる)を小麦より細かくする製粉技術や製造工程の工夫でクリアした。なお材料そのものは国産米粉100％だが、小麦由来のグルテン、製造時の「打ち粉」、製造工場での小麦と同一ラインの製造などのため、小麦アレルギーに対応してはいないので注意が必要。

ローソンの「米粉パン」三種類

お米の粉から作った「米粉パン」だからといって、パッケージ以外の外見が違うわけではない。写真を見ればお分かりの通り、ごく普通のあんぱん・シフォンケーキ・蒸しパンに過ぎない。ちなみに各種データは次の通り。

普通の調理パンと外見上の変わり映えが無いので(笑)、早速試食してみることにする。

まずは「あんぱん」パン生地が多少どっしりとした重量感、もさもさ感があるのは否めないが、ごく普通のあんぱん。あんはつぶあん。他のパンと違いこのあんぱんにのみ「米粉の性質上、生地が若干硬くなる場合もある」「電子レンジなどで温めると一層おいしくいただける」との注意書きがあった。指摘されてみれば確かに「どっしり感」は「生地が多少硬め」と受け止められなくもない。あんを練りこむために、他のパン以上に色々と苦労をしたのかもしれない。

続いて「シフォンケーキ」。味付けは紅茶ということなので「和食の米粉だが味は紅茶と洋風」という、和洋折衷的なケーキになっている。普通のシフォンケーキと比べ、やや重厚感に欠けるところがあり、崩れやすさが気になった。逆にいえば「ふわふわ感」が強いというところか。食感にそれら多少の気になる点があっただけで、味そのものはまったく問題なし。

最後に「蒸しパン」。これが一番特徴のあるパンだった。蒸しパンには「ふっくら」「ふわふわ」「軽め」のイメージが強いが、この米粉製蒸しパンは、もちもちとした食感があり、しっとりとしていて歯ごたえが強い。かめばかむほど甘みが増してくるという「ボリューム感」「重厚さ」がある。まさに「ぎっしりと詰まった蒸しパン」「圧縮度当社比30％アップ」といったところ。

「もしかして」と思いパッケージに説明書きは無かったが電子レンジで数十秒温めたところ、ふわふわ感ともちもち感がミックスされた、「食感的には」素晴らしいものに変身。しかし「米粉」の味わいが一挙に強調されてしまい、蒸しパンというよりは「おはぎ」を食べている気分になってしまった。本当の意味での「和洋折衷」かもしれない。

価格と大きさを比してみれば、「現時点」では通常の小麦粉で作った調理パンと比べて同等、あるいはややコストパフォーマンス的に劣るというのが現実的なところ。ただし今後技術の改良や量産体制の整備で経費を落とし、価格が下がる可能性はある。また小麦粉の価格が上昇を続けて通常の調理パンの値が上がれば、「相対的に」米粉パンのコストパフォーマンスが上昇する可能性はありえる。

また、当方が「蒸しパン」を電子レンジで温め直したら「おはぎみたいな味になった」体験談にもあるように、無理に既存の洋風の調理パンをなぞらえて作るより、米粉で和風の調理パンを創造した方が面白いもの・楽しいもの・美味しいものが出来るのではないか。そんな気がしてきた。

そしてなりよりも(数字で表すことは出来ないのだが)米粉パンで作った調理パンの場合、通常の小麦のパンよりも腹持ちがいくぶん良いように思える。タンパク質・アミノ酸などを豊富に含む、栄養価の高い食品ということでもあるし、今後の工夫次第では非常に面白い展開が期待できるだろう。

……ちなみに以前紹介したように、すでに世間には『「ごぱん」こと米粉パン』なるものも存在している。あるいはこのあたりも参考になるかもしれない(【お米を使った米粉パンこと「ごぱん」、少しずつ普及中】)。

(最終更新:2013/09/01)